SOCSYS037: THE 37TH SYMPOSIUM OF TECHNICAL COMMITTEE ON SOCIAL SYSTEMS
PROGRAM FOR FRIDAY, MARCH 14TH
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10:00-11:20 Session 6A: ミドル発表(3A)
10:00 健康無関心層の行動変容がもたらす健康増進施策への影響
ABSTRACT. 日本では医療費抑制や健康寿命の延伸が重要な課題となっているが,国民の約7割が健康無関心層とされ,従来の健康増進施策の効果は限定的である.本研究は,健康無関心層の行動特性を明らかにし,より効果的な施策立案を目的とする.エージェントベースモデルを用い,日常生活行動を再現し,「スポーツ」「社会参加」「行楽・散策」の促進を介入施策として導入した.シミュレーションでは,「22歳以下」「30・40代」「60歳以上」に分け,健康行動の変化を分析した.結果,特に60歳以上で健康無関心層が減少したが,対象外世代の健康行動は低下し,慎重なターゲティングが必要と示唆された.また,累積メッツ値の増加は限定的で,個人差が大きく,性・年代や家族構成に応じた柔軟な施策が求められる.
10:20 合成人口データと交通行動データを組み込んだ都市交通マルチエージェントシミュレーションモデルによる駐車場施策の検討
ABSTRACT. 近年,都市インフラの老朽化と併せてエネルギー問題や環境汚染などの問題により,コンパクトシティに向けた取り組みなどの既存の都市構造を見直す動きが活発になっている.本研究では,合成人口データと移動端末データに基づくマルチエージェントシミュレーションモデルを用いて,地方都市における出勤時の交通行動をシミュレートし,職場や駅周辺における効果的な駐車場施策を検討する.これにより,住民の利便度や交通状況,二酸化炭素排出量を基準とした交通施策の定量的な検討が可能となる.
10:40 都市政策と都市構造が市民の活動量に与える影響の推計 -エージェントベースシミュレーションを用いた分析-
ABSTRACT. 近年,増加の一途を辿っている我が国の医療費を削減するために健康寿命を伸ばすことが求められている.健康増進のためには,日常の活動量を増加させることが必要不可欠であり,そのために効果的な施策の検討が求められている. 本研究では,仮想個表を用いて,市民の活動量の推計のためのモデル作成を行い,エージェンベースシミュレーションを実施した.
11:00 EBPMを用いた都市施策のための 社会シミュレーションの構築
ABSTRACT. 本研究は,日本のEBPMが事業ありきのロジックモデル作成に偏り,政策の効果検証やフィードバックが十分に機能していない点,また,データと実務者の経験則を適切に組み合わせた施策形成の必要性に着目する.先行研究は,現状分析,立案方法の提案,エビデンスに基づく評価,代替案の検討に分類されるが,都市施策へのEBPMの活用は限定的である.本研究では,PDCAの課題を解決し,多様なステークホルダーのニーズに対応するため,社会シミュレーションを用いた施策効果予測モデルを構築し,EBPMの循環的なプロセスを構想する.これにより,自治体が最適な施策を検討するためのフレームワーク構築に貢献することを目指す.
10:00-11:20 Session 6B: ミドル発表(3B)
10:00 起業家が生まれにくい国におけるスタートアップ・エコシステムのメカニズム解明
ABSTRACT. 持続的な経済成長と国際競争力を高めるためには,スタートアップ・エコシステム(SES)の構築が重要である.本研究では,SESの発展に成功している国々の共通点を形成過程の視点から分析した.その結果,SESには「変革」「展開」「進展」「拡大」「持続的な成長と進化」という5つの段階があり,日本は特に「進展」期において,社会的・文化的変化が不十分であり,起業家が生まれにくい国民性であることが課題である.本研究は,起業家の状態遷移をもとにシステムダイナミクスを用いて,同様の課題を克服した国の施策を分析することで,日本に適用可能な政策の動的効果を評価し,SES構築のための政策的示唆を得ることを目的とする.
10:20 未婚の就業者を対象とした結婚意欲および出産意欲の要因分析
ABSTRACT. 深刻な少子化問題を抱える日本政府が,人口維持のために掲げる目標「希望出生率1.8」を達成するためには,人々が結婚や出産に希望を抱けるような支援を講じる必要があり,そのためには結婚意欲と出産意欲に影響を与える要因を明らかにする必要がある.そこで本研究では,未婚男女の結婚および出産意欲に将来の展望や不安が与える影響をそれぞれ明らかにする.そして,これらの意欲同士の関係性と関わる要因の違いを明らかにする.「令和3年度人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」の個表データを用いて,ロジスティック回帰分析と決定木分析を行い,その分析結果から有効な少子化対策について検討した.
10:40 エージェントベース社会シミュレーションの可視化理解度の分析 ―統計リテラシーと認知プロセスが及ぼす影響―
ABSTRACT. エージェントベース社会シミュレーション(ABSS)の可視化は,意思決定を支援する上で重要であるが,その理解のしやすさや統計リテラシーの影響は十分に解明されていない.本研究では,統計リテラシーと可視化に対する認知プロセスの観点から可視化の理解度を分析し,可視化の理解における障壁を明らかにすることを目的とする.統計リテラシーレベルと可視化理解度の関係性を分析し,項目反応理論(IRT)を用いて識別度と難易度を定量的に評価した.その結果,統計リテラシーが高いほど可視化の理解度は向上する一方,時系列データを用いた可視化や階層的な関係を示す可視化は,統計リテラシーレベルに関わらず理解が難しいことが示された.また,可視化手法や認知プロセスの段階によって識別度や難易度が異なることが確認された.本研究は,ユーザーの認知プロセスに適した可視化設計に関する知見を提供し,ABSSの活用を促進するものである.
11:00 Network Motif Framework for Communities analysis: Applications in Tourism and Second-Hand Luxury Market
ABSTRACT. Communities are fundamental units of social, economic, and cultural interactions, exhibiting characteristics of complex systems. Traditional community analysis methods often emphasize macro-level indicators while neglecting micro-level interaction patterns. This study introduces an improved Network Motif Framework for community analysis, integrating network structure with motif discovery and attribute-enhanced motif analysis. By incorporating both structural and attributed motifs, our approach enables a more granular examination of recurring interaction patterns within communities. The framework is applied to two case studies—the tourism industry and the second-hand luxury market—demonstrating its effectiveness in identifying critical network structures and optimizing decision-making. Our findings suggest that motif-based analysis provides valuable insights into consumer behavior, economic transactions, and social organization. The proposed framework enhances community research by offering a novel methodological approach to studying dynamic systems. Future research directions include real-time motif tracking, deep learning integration, and broader cross-domain applications.
11:40-13:20 Session 7A: ミドル発表(4A)
11:40 ABSを用いたリスク顕在化メカニズムの生成によるリスク分析手法の開発
ABSTRACT. リスクの顕在化は将来発生する事象であることから,実際に発生した場合のデータは存在しないため,リスクの要因は主に過去事例を参考に推論される.しかしながら,過去事例では時代や環境の違いにより,具体的な条件やリスク顕在化までの日時の差が異なる可能性がある.そこで本研究では,エージェントベースシミュレーション(ABS)を用いてリスクが顕在化する様子を再現し,そのログデータから生成したリスク顕在化メカニズムを分析することで,リスク分析を行う手法を提案する.提案手法をCOVID-19による医療崩壊リスクを対象に適用した結果,妥当性のあるメカニズムが生成され,リスク要因の具体的条件やリスク発生過程の因果関係が明らかになった.
12:00 陰謀論動画における受発信ユーザーの行動分析
ABSTRACT. 本研究はYouTube上におけるワクチン関連陰謀論動画の投稿者および視聴者の行動特性を分析し,陰謀論コンテンツへと至る経路を明らかにすることを目的としている.投稿者分析では,陰謀論を信じて拡散する「真陰謀論者」と,エンターテイメントとして陰謀論を扱う「偽陰謀論者」の二種類の投稿者にラベリングを行い,それぞれの投稿目的を分析した.その結果,真陰謀論者は信念に基づいて継続的に投稿を行う傾向がある一方,偽陰謀論者は再生数やエンゲージメントの向上を目的として投稿することが確認された.さらに,初期は陰謀論と関連しない動画を投稿していたにもかかわらず,途中から陰謀論動画を投稿するようになった投稿者が存在することも明らかになった.このような投稿者は,再生回数やエンゲージメント獲得を目的として,陰謀論動画を投稿している可能性がある.また,視聴者分析では,偽陰謀論動画が真陰謀論動画への主要な導線として機能しており,長期的には非陰謀論チャンネルの視聴者も陰謀論動画へ到達する可能性が低くないことが示された.本研究の結果は,YouTubeにおける陰謀論拡散の実態を明らかにし,プラットフォームの情報管理に関する重要な知見を提供する.
12:20 感染症流行初期における感染症ABMのパラメータ設定手法の提案
ABSTRACT. 感染症流行時,施策効果の分析や感染症予測に数理モデルやシミュレーションが活用された.エージェントベースモデル(ABM)では,個人の行動を記述することが出来るため,多岐に渡る施策効果の分析が可能である.また,流行初期に施策効果を分析するためには適切なパラメータ設定が不可欠である.そのため,シミュレーション結果を再現したい状況に合わせる逆シミュレーションを用いてABMのパラメータを推定する.ただし,計算コストの問題からABMは現実とスケールが乖離するという課題がある.そのため,本研究では,SEIRモデルでABMのスケールに合わせた感染状況を仮想的に生成してパラメータ推定を行う手法を提案する.
12:40 強化学習を用いたパラメータ設定による妥当性検証の方法論の提案
ABSTRACT. エージェントベースモデル(ABM)を用いた社会シミュレーションにおいて多くの工程があるが,モデル化の対象が複雑性や不確実性が高い社会システムであることに起因して,モデルの妥当性検証の重要性が高い.しかし,定性的状況をモデルの再現対象とする,パラメータ数が多いなどの理由から難易度が高いパラメータ設定による妥当性検証を行うことが求められる場面も多くある.本研究では,こうした状況で強化学習を利用した逆シミュレーションを用いてパラメータ設定を行う方法論を提案する.また,この方法論を実際のABMに適用してパラメータ探索の実験を行うと共に,本方法論の有効性の検討を行う.
13:00 検討すべき社会課題・政策(ニーズ)と 評価技術(シーズ)との マッチング方法論の提案
ABSTRACT. まちづくりに関する多種多様な社会課題に対して,政策の実施前に効果を評価し,根拠を元に政策をデザインするEBPMが推進されている.このような状況下で,どの政策(ニーズ)に対して,どの評価技術(シーズ)を活用するかの選択は,双方に多様かつ複雑な要因が絡み,その判断は困難である.そこで本研究では,ニーズとシーズの最適なマッチングを推定する方法論を提案した.また,マッチングには高次元データの類似性を可視化する手法を用いることで,様々な政策とそれらの評価方法の関係性を可視化することで実現した.また,本法論を用いることで,実際の都市の政策などを対象に,二つのマッピング手法からニーズとシーズのマッチングを行った.
11:40-13:20 Session 7B: ミドル発表(4B)
11:40 破壊的イノベーションプロセスの多様性についての社会シミュレーション分析
ABSTRACT. 破壊的イノベーションは,既存製品の性能が顧客の需要を上回っており性能過剰を起こしている市場に対して,既存製品よりも性能など従来の価値基準で劣ってはいるものの,価格など新しい価値基準においてどこか優れた一面を持つ新製品を市場に投入する技術革新である.この破壊的イノベーションが進行するプロセスやペースには業界や事例ごとにばらつきがあることがわかっている.本研究では市場の特徴を表現したシミュレーションモデルを作成し,イノベーションの多様性が生まれるメカニズムを解明する.
12:00 視線情報と皮膚電気活動データを活用した 消費行動メカニズムの解明
ABSTRACT. 近年,まち歩きを目的とする旅行者が増加傾向にあり,まち歩き観光は,観光地の新たな消費機会拡大を実現させる形態として期待されている.その一方で,まち歩き観光において消費行動が発生するメカニズムは解明されておらず,どのようにまち歩き観光を設計すべきか不明瞭なままである.本研究では,まち歩き観光中の視線情報や会話情報,皮膚電気活動データなどを統合的に分析することで,消費行動メカニズムの解明を目指す.本研究は,熱海市で実証実験を行い,視線情報や会話情報がまち歩き観光における消費行動のトリガーを特定しうることを明らかにした.さらに,皮膚電気活動データの上昇量に着目することにより,まち歩き観光における消費行動を抽出することの可能性を示すことができた.
12:20 貧困の連鎖を断ち切るために有効なアプローチについての考察
ABSTRACT. 日本では近年,貧困の連鎖が注目されている.その現象の原因として,貧困状態にいる子どもが,自身の社会的な不利に気づいておらず,必要な支援を得られていないという可能性が考えられる.先行研究では,現状理解には他者との関わりが重要であり,自分自身と向き合うことで,目標達成の手段を選ぶ力などが養われるとされていた.そこで本研究では,貧困層の子どもに非貧困層との関わりを促すことが貧困の連鎖にどのような影響を与えるかについて,シミュレーションモデルを用いて調査した.結果,非貧困層との関わりを持たせても効果は薄く,むしろ子どもたちが劣等感を抱き,登校拒否が進行する可能性が示唆された.また,貧困脱出のためには,子どもたちの登校率の向上が重要になることが明らかになった.
12:40 合成人口データを活用した避難所選択の適性分
ABSTRACT. 本論文は,合成人口データとGISを活用し,都市部の避難所選択の適性を分析した研究である.千葉県習志野市を対象に,最適化手法としてNSGA-IIを採用し,既存避難所と新規候補を比較し,平均移動距離や移動距離の標準偏差,収容数超過量を評価した.結果として,新規避難所の追加により避難者の負担軽減や収容力の改善が示され,より効果的な避難所選択の重要性が確認された.
13:00 ABM研究のための新たな地平とLLMエージェント
ABSTRACT. 本稿では,今日普及しつつある主体を中心としたマイクロモデリング手法であるエージェントベースモデリング(ABM)が、現実社会の主体を含む複雑系をAS ISでモデル化するのみならず、複数主体の合意形成を含む主体の意思決定とそれに基づく現実世界への介入や制御、タスクの遂行に対して果たす新たな可能性を示すと同時に、今日急速に発展しつつあるLLMとその利活用としてのLLMエージェント研究との関係について論じる。
15:00-16:40 Session 9: ロング発表(1)
15:00 生成AIを用いた避難の意思決定と議論のモデリング
ABSTRACT. 本研究は, 従来のルールベースのマルチエージェントシミュレーション(MAS)の課題を克服するため,生成AIを活用したジェネレーションエージェントを導入し, 災害時の心理的要因や情報伝達を考慮したシミュレーションを提案する. 地震や台風などの災害シナリオを対象に検証を行った. エージェント間の会話を通じた避難行動を予測し, 結果を過去の災害データと比較して現実性を評価した. さらに差分の要因を分析し, 予測精度の向上を検証した. 本研究は,災害時の避難行動の理解を深めるとともに,現実に即した災害対応シミュレーションの構築に貢献するものである.
15:25 世帯の連続性を考慮した合成人口補間手法
ABSTRACT. 日本では国勢調査が5 年ごとにしか行われないため, 合成人口データの作成も5 年間隔でしか行うことができない. このため, その期間における人口動態を反映するための補間データや, 将来的な人口変動を予測するための合成人口データの作成が求められている. 先行研究では, 人口の移動データを基に, 5 年間隔のデータの補間を行った. しかしその研究では, 合成人口の連続性がなく, 補間データの精度が悪いことが課題であった. そのため本研究ではその課題を解決するために, 継続世帯や移動人口を考慮して5 年間の合成人口の再合成を行う. この研究によって生成された補間データは, 実際の人口動態をより正確に反映するものであり, 今後の人口予測や政策立案に役立つと考えられる.
15:50 マルチスケール社会シミュレーションを用いた健幸都市政策立案のための意思決定支援
ABSTRACT. 我々は,異なる意思決定基準を考慮可能なマルチスケール社会シミュレーションを用いて,
京都府八幡市を対象に健幸都市実現のための政策立案支援に関する研究を進めている.
本稿では,実際の政策形成サイクルに即したマルチスケールモデリング手法による社会シミュレーションを実施する.人口減少下の自治体財政の中で健幸都市政策と子育て支援政策のマクロな関係性に加え,市民の日常行動での移動における負担感と歩行空間形成事業における影響のミクロな事業効果を合わせて可視化することで,政策立案のための意思決定を支援する.
16:15 イノベーションのジレンマに対する両利きの経営の有効性検証
ABSTRACT. イノベーションのジレンマは,破壊的イノベーションに取り組む新規企業が市場に参入した際,それに対応するだけの能力がある既存企業が,優れた経営能力により既存顧客を重視した持続的イノベーションを追求し,シェアを奪われてしまう現象である.この現象への有効な対策としてスピンアウト戦略が提唱されていたが,資源を活用できない問題点から有効性が疑問視されている.また,この問題を解消できる対策として資源を適切に配分できる両利きの経営が提唱されたが,イノベーションのジレンマ状況下の実践は難しいという課題が存在する.本研究ではイノベーションのジレンマ状況下においてシェアの確保に有効な対策を検討する.
17:00-18:40 Session 10: ロング発表(2)
17:00 販売記録データと社会調査データの融合による顧客像に基づく商圏分析方法の開発
ABSTRACT. 近年,家族構成や価値観の変化により,企業は多様な顧客ニーズに対応するため精緻なマーケティングが求められているが,一部の企業では顧客の属性情報を収集していない.先行研究では,属性情報を含むデータを用いたペルソナに基づく商圏分析手法を提案しており,属性情報を所有しない企業には適用が難しいという課題がある.そこで本研究では,属性情報が不足している状況において,販売記録データとアンケート結果を融合してターゲット顧客の顧客像を作成する.その後,顧客像を基に,合成人口データを用いて顧客像に類似する潜在顧客が多く居住する地域を特定する商圏分析を行う手法を提案している.ベーカリーを対象に適用した結果,実際の顧客特性と概ね一致する顧客像を作成し,その顧客像に基づいて潜在顧客が多く居住する地域を特定することができた.
17:25 過疎地域における移動手段確保のためのライドシェア導入の検証
ABSTRACT. 日本の過疎地域では,少子高齢化や人口減少により公共交通サービスの維持が困難になっている.乗合バスや地域鉄道の利用者数は大幅に減少し,多くの路線が廃止されている.この問題を解決するため,コミュニティバスや乗合タクシー,ライドシェアなどの代替案が検討されている.特にライドシェアは,自家用車を活用して近隣の出発地と目的地を共有するサービスであるが,安全性や安定供給には課題がある.本研究では,過疎地域におけるライドシェア導入効果をシミュレーションにより検証し,その有効性を評価する.
17:50 マルチレイヤーネットワーク分析を用いた帰属意識向上施策の有効性分析
ABSTRACT. 自分が組織や集団の一員であるという意識・感覚を指す帰属意識を高めることは,一般にパフォーマンスの向上や離職率の低下をもたらす.帰属意識は過去の実証研究により,年齢や勤続年数よりも職場の人間関係により強く影響を受けることが明らかにされている.そのため,本研究では,SNSや職場外での交流関係,業務上の繋がり,一緒に働いて楽しいと感じる関係,相談関係などを表現した多層的なネットワークを用いて組織の人事課題を可視化し,それらに対応した人事介入施策を構成・実行した.そして,その前後の社会ネットワーク構造の変化やアンケート調査から施策の有効性を評価した結果,一部の社員において職場環境改善の効果が認められた.
18:15 両利きの経営における規範モデルの構築と動的資源配分戦略の検討
ABSTRACT. 近年,様々な要因による経営環境の急速な変化に伴い,企業の環境適応が強く求められている.その中で,組織の資源を活用し,既存領域の発展である「深化」と新規領域への挑戦である「探索」を両立できる組織を構築することが,環境適応と長期的成長に有効であるとされており,「両利きの経営」と呼ばれている.しかし,両者を両立することはリスク的観点や,利害の対立等の理由から難易度が高いとされている.そこで,本研究では,両利きの経営の事例を組織的観点から分析し,両利きの組織を実現する上で必須となる要素を抽出することで,規範モデルを作成する.また,作成したモデルを用いて「深化」と「探索」に対する資源配分を考察する.