SOCSYS030: THE 30TH SYMPOSIUM OF TECHNICAL COMMITTEE ON SOCIAL SYSTEMS
PROGRAM FOR MONDAY, AUGUST 29TH
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09:00-09:40 Session 5A: 構想発表4A
09:00
映画続編における消費者文化の差異による影響の社会シミュレーション分析

ABSTRACT. 映画市場で多くの続編作品が制作され公開されている.映画市場の中でも大きな影響があるため,続編について多くの分析が行われている.例えば,続編映画のタイトルによる消費者の作品への印象を調べる研究や消費者属性の差について調べるために27か国のデータを用いて分析した研究などがあった.今後の研究では,先行研究で得られた結果を用いてエージェントベースモデルを作成し,様々な消費者集団を想定した続編映画の購買行動に関する分析を行う.

09:10
戦略的な建築・都市計画策定のための土地利用分析システムの開発

ABSTRACT. 人口減少時代に突入した日本の都市では, 生活関連サービスの縮小や, 空き家, 空き店舗の増加など様々な現象が発生している. このような現状をうけて, 建築・都市計画の領域では, 都市の定量的な評価に基づく計画策定の重要度がより高まっている. しかしながら, 定量的な都市の評価を, 具体的な土地利用に結びつける研究や, システムは少ない. そこで本研究では, 都市の定量的な評価に基づく, 建築・都市計画策定を支援するシステムの開発を行う. 評価指標としては, サービス供給施設の需要と持続可能性に着眼し, アクセシビリティや人口動態, 人流から対象地の選定と機能を評価する. これらの評価に基づき, 施設の用途と容積, 立地等を決定することによって戦略的な建築・都市計画策定の支援を可能にする.

09:20
経済社会課題のメカニズム解析と実証分析のための経済プラットフォーム構築

ABSTRACT. 社会経済システムにおける問題を取り扱う上で,従来の研究ではミクロ・マクロ経済モデルによる分析が行われてきた.しかし,複雑な現代社会において提供されるサービスや政策をデザインするためには,個々の意思決定による相互作用が社会全体に及ぼす影響を把握する必要がある.このようなミクロ−マクロをリンクさせた分析手法として,エージェントベースモデルが注目を浴びている.しかし,これまでのエージェントベースモデルによる経済分析は,実データの不十分さと技術的課題から現実に即した分析が困難であった.そこで,本研究ではリアルスケールシミュレーションに適した合成人口データとSOARS Toolkitを用いることで,この課題を解決するプラットフォームを構築することを試みる.

09:00-09:40 Session 5B: 構想発表4B
Chair:
09:00
鉄道赤字路線・廃止路線の類型化による鉄道路線存廃の指標の提案

ABSTRACT. 近年,少子高齢化やコロナ禍を起因とする鉄道路線の衰退が続いている.特に,一部の地方ローカル線では収支悪化を理由に,沿線自治体と路線廃止に向けた協議が進められている.また,国土交通省は,輸送密度1000人未満などの条件を満たすと,路線見直しの対象になると指標を示している. しかし,鉄道路線存廃には,経営事情や沿線状況も考慮する必要があり,一概に輸送密度の小ささだけで判断することは難しい. そこで本研究では,鉄道輸送統計や人口統計,その他の公開情報を用いて,既に廃止された路線と現在存続が危ぶまれている路線から特徴値を分析し,鉄道路線存廃の判断基準となる指標を提案する.

09:10
SNSに対するテキストマイニングを用いた コロナ渦での観光意識の差異分析

ABSTRACT. 2019年中国武漢で確認された新型コロナウイルスは瞬く間に広がり,日本の観光市場に大きなダメージを与えた.人々の動向を表出する代表的なSNSデータとして,観光に関連するTwitterデータを用いる.本研究では,関西地方を中心に地域を大都市,地方都市,郊外地域の三つに分類し,ツイートデータから新型コロナウイルスによる住民の観光への意識の共通点,相違点などを明らかにすることを目的とする.

09:20
ゲーム業界におけるイノベーションのジレンマ発生過程の分析

ABSTRACT. イノベーションのジレンマとは既存企業が破壊的イノベーションに取り組むポテンシャルがあったにも関わらず、組織的問題や対症療法的な戦略などから参入できない現象である。本研究では家庭用ゲーム業界とスマートフォンゲーム業界の間で発生したイノベーションのジレンマを、プラットフォームの違いを考慮しつつモデルによって再現する。ここではイノベーションのジレンマの発生をそれぞれのゲームのプレイ人口の変動によって示す。またこのモデルを用いてイノベーションのジレンマのシナリオ分析を行い、市場に破壊的技術を持つ企業が現れたときの既存企業の適切な対策についての検討を行う。

09:30
ハイパーゲーム分析を用いた金融市場の分析

ABSTRACT. ハイパーゲーム分析を用いて金融市場について分析する

09:50-11:50 Session 6: 研究発表
09:50
住宅内心停止に対するAED 使用率向上に向けた社会シミュレーション分析―神奈川県全市区町村の比較

ABSTRACT. 本研究は,我が国のAED使用率が低水準であるという問題に対して,社会シミュレーションによりAED使用率向上に向けた有効な施策への示唆を得ることを目的とした.そのため,住宅内での心肺停止発生からAED使用までの流れを模した社会シミュレーションモデルを構築し,合成人口や地理空間情報等のデータを用いて,神奈川県の市区町村を対象にリアルスケールでのシミュレーションを実行し,その結果を考察した.

10:07
社会システムにおける意思決定主体間の関係性に着目したマルチスケールモデリングの提案

ABSTRACT. システムの連携・協調により持続的な価値やサービスを創出する社会においてSystem of Systems (SoS)の概念が重要である.一方,時空間レベルの異なるサブシステムからなるSoSに対し,従来のモデリング手法を適用した場合,それぞれのレベルで独立してモデル化されるため,社会シミュレーションによりシステム全体のマクロ現象と詳細部分のミクロ現象を同時に評価することは困難である.そこで我々は各システム構成要素の時空間レベルに適したモデル化が可能なマルチスケールモデリングに着目してきた.本発表では,意思決定主体間に共有される社会意識及び主体間の物理的制約に基づくシームレスなモデル統合手法を提案し,COVID-19施策に対する適用例について述べる.

10:24
AIの発展による学科の盛衰分析

ABSTRACT. 人工知能は飛躍的な進歩を遂げており,労働力の一部として期待されている.一方で,この影響は大学にも及ぶ.例えば,労働力が人工知能へ代替される産業に人材を輩出できなくなる可能性がある.そこで,本研究では,人工知能が産業に導入されることにより,どのような学科がなくなりやすいか,なくなりにくいかを分析する.可視化には自然言語処理を用い,なくなりやすさに関連する学科の特徴的な言葉や,その繋がりを可視化した.大学の偏差値別で分析した結果,低偏差値群では体力を使う学科が,高偏差値群では知力を使う学科がなくなりにくいことが示された.また,偏差値に関わらず,観光に関する学科がなくなりやすいことが示された.本研究が大学の生き残り戦略の貢献になることを期待する.

10:41
組織内に形成されるフォールトラインが組織のダブル・ループ学習に及ぼす影響分析

ABSTRACT. 組織のダブル・ループ学習の阻害要因の一つとして, 組織内の多様性によって生じるフォールトラインの形成がある. フォールトラインとは, 類似した属性を持った個人同士が集まることで発生しうる, 組織内の分断を仮想的に表現したものである. このフォールトラインにより, 類似した個人同士でサブグループが形成され, サブグループ内での交流ばかりが促進されることで, 組織全体で交流が進まず, 組織に負の影響を与える. 本論文では, エージェント・ベース・シミュレーションを用いて, フォールトラインの強さが個人間の学習に与える影響をモデル化し,フォールトラインの強さや形成されるサブグループの数が組織全体の学習に与える影響を分析する.

10:58
大学進学における人口移動モデルの構築

ABSTRACT. 複雑系である社会システムにおいて施策の効果を評価するためには,社会システムの振る舞いを表現する必要があり,その根幹である人口動態が重要な情報となっている.しかし,社会課題解決に向けた大規模な転換シナリオの表現や地域間の相互作用を考慮した人口予測が可能な環境は,まだ整っていない.そこで本研究は,社会シミュレーション構築の扶助を目的として,地域別将来人口の動的予測への影響が大きく,ライフイベントの一つである大学進学における人口移動モデルを構築する.使用するモデリング手法は,創発特性によって,任意に構築した架空の施策の影響をシミュレーションに反映できるといった利点があるエージェント・ベース・モデリングを採用した.

11:15
イノベーションのジレンマにおける「破壊の破壊」の発生とそれに対する戦略についての社会シミュレーション分析

ABSTRACT. イノベーションのジレンマでは一般的に性能進化を線形として仮定し、商品の性能が顧客の求める性能を追い越してしまっていないかを重要視している。しかし、近年においては非線形に急激に成長する技術が出現し始めており、破壊的イノベーターがさらに急激に成長を遂げる破壊的イノベーションに破壊される事例(これを「破壊の破壊」と定義する)が散見されるようになった。本研究では従来のイノベーションのジレンマ論に、非線形仮定として一般的なフォスターの「技術のSカーブ理論」を導入し、3企業群における性能進化の違いの影響と、それに対する戦略をエージェント・ベース・シミュレーションによって定量的に分析する。

11:32
より良い地域包括ケアシステム構築のための指標定義とシミュレーション評価

ABSTRACT. 地域包括ケアシステムとは、高齢者が自分らしい暮らせるよう支援することを目的とした制度であり、2025年を目処に各自治体が実現に向けて取り組んでいる。各自治体はサービス内容・提供方法の地域特性や、多様な需要発生を考慮した根拠ある制度設計を行う必要がある。しかし、総合的に地域包括ケアを扱った研究が十分ではなく、客観的指標に基づく計画立案を支援する方法は確立されていない。そこで、本研究ではより良い地域包括ケアシステムの実現を目的とし、各自治体における地域包括ケアの現行体制を評価する指標を策定する。さらに、地域におけるサービスの需給を再現したシミュレーションモデルを構築し、策定した指標を評価軸にサービスを最大限提供できる制度設計に貢献する。