SOCSYS030: THE 30TH SYMPOSIUM OF TECHNICAL COMMITTEE ON SOCIAL SYSTEMS
PROGRAM FOR SUNDAY, AUGUST 28TH
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13:30-15:00 Session 2A: 構想発表1A
Chair:
13:30
ABSと因果推論を用いた新型コロナウイルス感染症に対する流行対策の効果分析

ABSTRACT. 現在も流行が終息していない新型コロナウイルス感染症に対しては様々な流行対策が取られてきた.しかし対策の効果を定量的に把握することは難しいため,不確実性の高い状況においてどのような施策を打つかの意思決定は困難である.本研究では因果推論によって施策の因果関係と効果を定量的に把握する方法を検討する.また,因果推論において重要となるが実社会で観測することの難しい反事実データを,エージェントベースシミュレーションで感染状況を表現することで生成する.これらの一連の手法によって新型コロナウイルスの流行対策の効果検証を行い,複雑性のもとでの施策決定の支援を行う手法として提案する.

13:40
購買履歴と回遊データを用いた店舗内回遊の予測方法の開発

ABSTRACT. 本研究では,協力小売店から提供された購買履歴と回遊データを用いて,顧客の店舗内回遊を事前に予測する研究を行う.先行研究では,顧客がある特定の商品を購入する際に固有の回遊をすることから,購買と顧客が通過したブロックについての共起分析や顧客が普段通過しない売り場を通過するという例外的な回遊の分析をおこなっている.しかし,顧客の店舗内回遊を事前予測できていない.そこで本研究では,顧客の回遊と購買の関係性に着目し,店舗内回遊の予測を試みる.

13:50
施設での心停止発生を想定したAEDの配置検討

ABSTRACT. 本研究では,心停止傷病者に対してAEDを素早く使用するための配置場所を検討する.関連研究では,3分以内にAEDを運搬可能な範囲を水平方向だけでなく,垂直方向も考慮することで,AEDの空間配置における課題を明らかにした.しかし,このモデルはAEDの運搬経路や建物の構造が考慮されていない.そこで,本研究では特定施設を対象に,施設内及び建物の構造に着目したAEDの配置場所の検討を行う.

14:00
電力消費行動をベースとした​電力需給シミュレーション

ABSTRACT. 近年, 化石燃料の高騰や非常時の火力発電所の稼働停止, 気温変化による冷暖房需要の急増などの様々な原因から電力需要逼迫が問題視されており, 政府は「電力需給に関する検討会合」にて電力インフラを大幅に改善する必要があるという見解を示している. しかしながら, 電力インフラの改善検討には電力需要の変化を考慮する必要がある. 本研究では, 電力需要を把握し電力インフラの改善を検討するため, 電力需要の変化に影響する人々の生活に伴う電力消費, 天候などの外部環境を考慮した電力需給のシミュレーションモデルを構築する. 構築するモデルを用いて安定供給できる電力インフラの在り方の検討を目的とする.

14:10
京都嵐山におけるレンタサイクル導入による観光客分散の検証

ABSTRACT. 観光地での密集は新型コロナウイルス感染予防の観点や,旅行の快適度の観点から観光客の分散が求められる.このような問題状況において,レンタサイクルを導入することによって観光客の移動可能範囲を拡大し観光の選択肢を増やすことによって観光客の分散化が可能になると考える.本研究は京都府の嵐山地区をモデルに構築したABMシミュレーションによりレンタサイクル導入の観光客分散における有効性及び最適なレンタサイクルショップの配置,自転車の台数を検証する.

14:20
シミュレーションに基づく自治体分類法を対象とした決定木代理モデルを用いた分析手法の開発

ABSTRACT. 自治体が新たに政策立案を行う過程では,時に類似した他の自治体の動向を調べることが知られており,そのため類似した自治体を発見するための自治体分類手法が提案されている.先行研究では多目的最適化社会シミュレーションを通して自治体の政策の最適化を行い,そのパレート解集合の距離を用いてクラスター分析を行い自治体分類としていた.しかし,手法が複雑で難解なため,自治体十分な納得の下手法を利用できない懸念が存在する.そのため本研究ではその分類結果を再現する決定木モデルを作成し,その決定木を分析することで,分類に関与している自治体の情報を抽出し,自治体分類結果の信頼性,利便性の向上を目指す.

14:30
新型コロナウイルスの感染状況と都道府県の持つ特性との関係

ABSTRACT. 新型コロナウイルスの感染状況は地域によって大きく異なる。この感染状況の異なりを各都道府県の持つ特性によって説明することを目的としたエージェントベースモデルを作成する。今回は特に社会的な特性(昼夜間人口比率、年齢層、通勤・通学での鉄道利用率)などに注目する。具体的には、各都道府県の実効再生産数や7日間の平均感染者数の標準化の値を用いて各都道府県でクラスタリングを行い、そのクラスタリングの結果を目的変数、社会的な特性を説明変数として判別分析を行う。その結果、感染状況に影響を与えていそうな社会的な特性を同定し、エージェントベースモデルに組み込むことによって因果関係があるかどうかを説明する。

14:40
居住地選択行動におけるテレワークの影響に関する研究

ABSTRACT. 社会人は居住地を選択する際に、立地条件や通勤のしやすさを考慮していることが明らかになっている。そんな中、近年ではテレワークと呼ばれる勤務地を問わない働き方が可能となっており、居住エリアの選択が従来よりも広範囲になることが首都圏を中心に高まることが予想される。そこで、本研究ではテレワークの普及を仮定し、従来と比べて人々の居住地選択はどのように変化するかを検討する。従来の居住地選択行動モデルにアクセシビリティや交通行動を加味しつつ、地域や住民属性の関係を明らかにする。また、テレワークの普及が地方都市の衰退の解決策として有効であるか、定量的に分析することを目標とする。

13:30-15:00 Session 2B: 構想発表1B
13:30
ベーカリーのPOSデータを用いたパン商品の代替性の分析

ABSTRACT. 本研究では,ベーカリーのPOSデータを用いてパン商品の代替性の分析を行う.ベーカリーでたびたび起きる欠品は,顧客の購買機会の損失となり,店舗の売上損失に直結する.また,パンの代替率は高いことが知られており,ベーカリーにおいて欠品に遭遇した顧客は代替品を購買する傾向が強い.先行研究では,スーパーの購買データを用いてバスケット分析を行っており,バスケット分析が商品の相関を表す手法として優れていることがわかった.そこで本研究では,バスケット分析を行い,ある商品が欠品した場合としていない場合で頻出する購買パターンの比較を行い,どの商品が代替されているかを調べ,商品の代替性の分析を試みる.

13:40
地域医療構想の適用による社会的影響の評価

ABSTRACT. 日本はすでに超高齢社会を迎えており,今後も急速に高齢者の割合が多くなることが予測されている.そのため高齢者にかかる医療費の増加による社会保障費の増大の懸念がある.そのような状況にも関わらず,医師の判断による医療需要が作り出され,医療費を圧迫させている非効率な実態がある.そこで,効率的な医療提供体制を実現するために導入されたのが地域医療構想である.しかし,地域医療構想が適用された地域においては,病床数の削減や機能転化が行われることによって,一時的に医療提供体制が不安定になるといった懸念がある.そこで本研究では,地域の医療提供体制が,社会保障費とバランスのとれた道を歩むために最適となるシナリオを,シミュレーションモデルを用いて検討・評価することを目的とする.

13:50
コロナ禍によって家族時間が増加した家庭内の相互作用による節電意識変化の分析

ABSTRACT. 本研究では,コロナ禍によって家族時間が増加した家庭内での相互作用による節電意識変化について分析を行う.先行研究では,周りの他者の行動認知に基づく規範である記述的規範や電気代の節約などの経済的評価が節電行動変化に対する影響が大きいことが明らかになっている.そこで,本研究では,「節電意識の高い人と低い人が自宅内で長く過ごすことによって節電意識の低い人は高い人に影響を受ける」「自宅内で過ごす時間の増加によって,電力消費量が増え,経済面からお互いの節電意識が向上する」という2つの仮説を提示し,これらについて質問紙調査を行い,仮説の評価を行う.

14:00
組織の人材育成におけるダブルループ学習の発生について組織構造から考察する

ABSTRACT. ダブルループ学習と組織構造から成る人材育成の関係性の調査。 人材育成について、公式制度的に、OFF-JT 的な教育制度を行うよりも、組織構造 として、OJT 的に人材を育成するほうが、ダブルループ学習を起こすことができる ような「創発、革新型人材」の育成が促進できることが先行研究から示唆されている。 その OJT 的教育を行う組織構造について、ホロニックな組織構造と、市場原理的な 組織構造という 2 つの事例を取り上げ、それらの組織構造をモデル化し、状況を元に比較する ことで、OJT的人材育成を行う組織構造がダブルループ学習の発生 に効果的であるということを確認しつつ、事例に基づいた状況の元、それぞれの組織構造がもたらす効果を比較する。最終的には仮想実験を行い、当該事例の組織構造がどのような状況を持つ組織にとってダブルループ学習の発生という点で有効であるかを考察する。

14:10
システム間連携に着目したスマートな公共交通サービスの提案

ABSTRACT. 公共交通における利便性確保は,高齢者における免許返納者の増加並びに少子高齢化による労働人口の減少に伴うドライバー不足・高齢化の観点からも重要な社会課題となりつつある.この課題解決に向け,我々は公共交通に関わる異なるシステム間の連携協調に着目したスマートな公共交通サービスの提案を目指している.本稿では,システム間連携に重要なSystem of Systems(SoS)の概念,並びに公共交通の課題やシステム間連携の課題について述べるとともに,提案サービスの構想について発表する.

14:20
世帯ごとによる自動体外式除細動器(AED)使用率の推定

ABSTRACT. 全国の心肺停止病床者数に比べ,一般市民により目撃されてかつ心肺蘇生術から除細動まで行われるケースがかなり少ないということがわかっている.本稿では,家族により心肺停止患者が目撃されるケースに焦点を当てAED使用率を増加できることを検証する.

14:30
所得推定を伴うマイクロシミュレーション ー既存の社会保障制度とベーシックインカム制度の比較ー

ABSTRACT. 従来の社会保障制度に代わる政策として,政府が全国民に対して最低限の生活を送るのに必要な額の現金給付を無条件に行う政策であるベーシックインカムが期待されている.本研究は,マイクロシミュレーションモデルを用いてベーシックインカムが貧困問題の解消に有効であるか考察する.これまでの研究では,浜松市中区を対象とし,一年のみのシミュレーションを行った.本研究では,人口などの変化に応じたシミュレーションサイクルを用いることにより,ベーシックインカムが人々の所得に与える長期的な影響を考察する.

14:40
Analyzing the influence of acculturation mode on the success or failure of post-merger integration in China's semiconductor industry

ABSTRACT. At present, the Chinese government strongly supports the development of the semiconductor industry, and has issued relevant policies to point out that the government supports enterprises to carry out M&A in accordance with the principle of marketization. The amount of M & A in the semiconductor industry has been continuously upgraded, and the integration after M&A is a great challenge that Chinese semiconductor enterprises will face.

In fact, there are not many semiconductor enterprises own integration capabilities in China.However,acculturation is a crucial part of the integration process.

Some scholars examined in detail the processes and outcomes of acquisitions as they are influenced by organizational culture.My research attempts to view acculturation mode from the perspective of behavior. Individual acceptance of culture and interaction between individuals, as well as influence of different individuals on others(such as managers and employees) , will produce different culture mode. The mismatch of acculturation mode will accelerate the failure of integrated companies

In addition, state-owned enterprise is an important organizational form for the Chinese government to participate in the development of the semiconductor industry. My research takes the influence of the government as a parameter and adds it to the process of enterprise integration after M & A

15:10-16:40 Session 3A: 構想発表2A
Chair:
15:10
高等学校の授業料無償化における地方自治体の支援制度の分析

ABSTRACT. 本研究では,高校無償化に加える形で地方自治体が独自に実施する支援制度の分析および最適化を行う.先行研究から,高校無償化によって私立進学率は上昇したものの,所得階層間による格差が広がったことがわかっている.しかし,制度改正後の施策の効果を検証した研究や,自治体独自の支援制度を分析している研究は存在しない.そこで本研究では,税の再分配の観点から適切な支給水準にすることと,公平性を高めることを目的とした多目的最適化社会シミュレーションを行い,自治体独自の支援制度を分析し,政策立案を支援することを目指す.

15:20
エージェントベースシミュレーションによるネットワーク効果が働くソーシャルゲーム市場の分析

ABSTRACT. ソーシャルゲーム市場発展の要因としてネットワーク効果の影響が挙げられており,様々な関連研究が行われてきた.本稿では,ソーシャルゲーム市場の収益メカニズムに着目し,ゲーム外に存在するSNS等のコミュニティにおける消費者間の相互作用を前提としたエージェントベースシミュレーションのモデル構想を検討した.

15:30
小中高大学連携を想定した探求型教材の開発

ABSTRACT. 平成30年の学習指導要領の改訂によって導入された「総合的な探求の時間」は、教科教育では扱わない領域横断人材育成やキャリア教育等の側面を担っている.しかし,カリキュラム・教材の開発を現場に一任しており、現場の各教師が個別に生徒を見極めて実施しているのが現状である.そのため,既存の取り組みでは,小学校から高校にかけて一貫したテーマ性や将来性が不透明であり,生徒の関心が得られないことや開発が教師の負担になっていることが課題として挙げられる. 本研究では,このような教育現場の現状の探求活動の取り組みを改善するために,小中高大学間連携を前提とした探究型教材の開発を行い,既存の取り組みと比較した際に多世代間で行われる相互作用が,理想の生徒像の育成に及ぼす影響を検証することを目的とする.

15:40
2重制度の埋め込まれが及ぼすバウンダリースパナーへの影響分析

ABSTRACT. 企業組織は持続的な成長のため多様化や国際化しているが、それにより他者間あるいは組織間には隔たり(バウンダリー)が生まれてしまう。これは両者間に違いがあることでもあり、知識移転を困難とさせる。このバウンダリーを越え、他組織間をつなげ、知識移転を促す存在としてバウンダリースパナーが存在する。しかしながら、異なる2重の文化やネットワーク(2重制度)に埋め込まれている組織間でのバウンダリー・スパニング活動にはジレンマが生じ、影響が出てしまう。そのためバウンダリースパナーの調整活動が必要である。そこで本研究は、どのような2重制度の状況において、どのような調整活動を行うことが有効であるかを明らかにしたい。

15:50
地域に即した公共交通導入支援のための シミュレーションモデルの構築とその評価

ABSTRACT. 現在の日本では地方部を中心として,公共交通網が縮小している.特に交通需要の小さい地域で生活の足を担ってきた路線バスは,厳しい経営状況に置かれている.それらは自治体の補助金によって維持されてきたが,財政基盤の悪化により持続的な支援が厳しい状況下にある.その対応策として,国の制度を活用した,小規模な需要に対応可能なオンデマンド交通導入の実証実験が実施されていが,多くのサービスは一時的か,実証実験に留まっている.地域の生活の足としてサービスを定着させるには,地域に即した交通手段を探るための実証実験を繰り返す必要がある.そこで本研究では,持続可能な公共交通導入の検討に向けて,シミュレーション技術を活用し,仮想社会としてモデル上に再現した対象地で設計する方法論を提案する.

16:00
選挙費用と投票率から考える投票環境の検討

ABSTRACT. 代表民主制を採用する日本にとって,選挙での投票は国民の意思を政治に反映させることができる重要な機会である.したがって,日本では国民が投票できる環境を構築,維持することが重要である.しかし,現在,厳しい財政環境に直面していることを理由に,地方自治体を中心として投票所数が減少している.これにより,投票への移動的負担が大きくなり,棄権せざるを得ない有権者が存在している.本研究では,投票所数の変更や投票所の移動に着目し,選挙費用と投票率の分析をおこなうことで,今後の投票所に関する投票環境の改善に向けて,投票所数,投票所配置の検討をおこなう.

16:10
合成人口データにおける人口流出入の推計

ABSTRACT. 昨今,感染拡大を続けるCOVID-19の感染に関わるシミュレーションや災害発生時の避難行動のシミュレーションなどに人口構造をモデル化したデータである 原田(2018)らが作成した合成人口データが活用されている.この合成人口データは5年毎に実施される国勢調査を基に構成されている.そのため,国勢調査が実施されていない年に関する精緻なシミュレーションが難しい現状がある.そこで本研究では,各自治体が独自で公表している単年毎の人口データを用いることで国勢調査間の人口動態を推計し,より精緻なシミュレーションを可能とすることを目的とする.

16:20
クラスタリングと協調フィルタリングによる 製パン商品推薦システムの開発

ABSTRACT. 本研究では,製パン企業の工場出荷データを用いて製パン商品を推薦するシステム開発のための研究を行う.製パンは多種多様な商品が取り扱われているため商品推薦システムの実装が必要となる.推薦システムは一般的に購買が似ているユーザーを参考にする協調フィルタリングによって推薦を行うが,多種多様な製パン商品を単品で推薦するのは難しい.そこで,本研究では商品に対して「ローテーションクラスタリング」を行い商品の種類数を減らすことで,多種多様な商品や新規ユーザー,新商品に適用できる推薦システムの開発を目指す.

15:10-16:40 Session 3B: 構想発表2B
15:10
ビーコン及びアンケートデータの分析からのモデル構築

ABSTRACT. 昨今の溢れるデータの中には,歩行者の位置情報を示すビーコンデータや来場者の会場への来場目的,イベントに関する所感といったアンケートデータなどが含まれている.しかし,これらデータが必ずしも利用されるわけではなくただデータとして蓄積していることもある.人流モデルを構築するにあたりこれらデータの活用が大きく役に立つ可能性があるわけだが,現状明確なモデル構築手法は定まっていないがために、このような事態になっていると考えられる..本研究では,モデル及びシミュレーションを構築する手順を具体的に記述し,事前に採られたデータを基に実際に構築,その妥当性について評価することを目的としている.

15:20
テキストマイニングを用いた新型コロナウイルスに対するメディア報道のイメージ

ABSTRACT. 新型コロナウイルスは未知の感染症として経済社会に大きな影響を与えた. 先行研究では、アンケートやTwitterのデータを利用してコロナ禍における学生の所感や、ツイート量や内容と感染状況の関係性の研究が行われた. 本研究では、先行研究では行われていない新聞記事をデータに用いて新型コロナウイルスに関するテキストマイニングを行う.

15:30
合成人口データを用いた宇都宮LRTの交通需要予測

ABSTRACT. 栃木県宇都宮市では市内中心部の渋滞緩和と高齢化による移動手段の減少を解消するため,2023年に宇都宮市中心部から市東部に隣接する芳賀町にかけてLRTが導入される.芳賀町・宇都宮LRTでは開業前経費によって生じた累積損失は開業9年目に解消されるとの見込みを発表している.この研究では合成人口データと社会シミュレーションを用いて見積もりを算出し,より利益を生むための方法を提案する.

15:40
「津波てんでんこ」の理解を深める津波避難シミュレーションの開発

ABSTRACT. 津波災害時には,早期避難を行うことが大切である.しかし,早期避難を妨げる要因は数多く存在しており,実際に地震が発生してからすぐに避難行動をとることは難しい.そこで,東北の沿岸部には「津波てんでんこ」という標語がある.これは「津波が起こった際は他人のことは構わず各自で逃げろ」という意味であり,早期避難を妨げる要因の多くを解消するものである.しかし,先行研究ではこの津波てんでんこの理解を促すものが多く,津波てんでんこが生存率を高めるのかを定量的に明らかにした研究はない.以上より,本研究では津波避難シミュレーションを用いて,津波てんでんこが生存率を高めることを明らかにすることを目的とする.

15:50
労働社会モデルの構築と労働生産性向上のための労働施策の検討

ABSTRACT. 近年,日本の労働生産性が他の先進国と比較して低水準であることや,ワークライフバランスの浸透によって働き方改革が提唱され,多様な働き方の導入が進んでいる.今後もその導入は広がりを見せると予想されるが,現状,多様な働き方が労働生産性に与える影響については定量的に分析した文献は存在しない.そこで本研究では,労働者の働き方の選択や企業の労働条件の採択等の意思決定を表現した労働社会のモデルを構築し,多様な働き方の導入をシミュレーションする.構築したシミュレーションモデルを通じて労働生産性の推移を分析することで,労働者のワークライフバランスと,労働生産性の関係性を定量的に評価し,シナリオの妥当性を検証することで日本の労働社会の在り方を検討する.

16:00
イノベーションのジレンマへの対策であるハイブリッド戦略についての社会シミュレーション分析

ABSTRACT. イノベーションのジレンマに対して,独立組織を設立するという一般的な対策があるが,これには経験則に基づく一定の支持があるものの疑問や反論も存在している.そこで新たな対策方法としてハイブリッド戦略というものがあげられている.ハイブリッド戦略とは,既存技術と破壊的技術の中間の製品でイノベーションのジレンマを防ぐという企業の戦略である.本研究では,トヨタのハイブリッド車の販売をハイブリッド戦略とし,イノベーションのジレンマへの定量的な効果をエージェント・ベース・シミュレーションを用いて示す.

16:10
スーパーにおける効果的な店内プロモーションに向けた購買時間と購買行動の特徴分析

ABSTRACT. 本研究では,スーパーの実店舗で収集された購買データと回遊データを用いて,顧客の購買行動の特徴分析を行う.先行研究では,顧客の行動が3つのタイプに分類されたが,各タイプのより詳細な行動については把握できていなかった.また,店舗により利益をもたらす優良顧客の分析の手法としてGRFM分析というものが提唱され,その有用性が示された.そこで本研究では,店舗に利益をもたらす顧客の購買・回遊行動の特徴を分析し,より効果的な店内プロモーションの考案に繋げられるような,各タイプの顧客の詳細な行動特性の発見と,GRFM分析を用いた優良顧客の把握を目指す.

16:20
脱炭素先行地域に対する政策評価

ABSTRACT. 現在,日本では脱炭素へのシフトチェンジが急がれており,それを達成するための先行的な取り組みとして,環境省が「脱炭素先行地域」を異なる地域特性を持つ地域に選定した.しかしながら,脱炭素には莫大な費用がかかるため,実現可能性の部分に疑問が残る.また,脱炭素社会を目指した取り組みを行なっても,計画が住民に受け入れられるのかも不透明である. そこで本研究では,対象地域の脱炭素導入に向けて,受給率,費用,一人当たりのCO2排出量を考慮し,有効な政策を検討するシミュレーションモデルを構築し、脱炭素導入の実現性を評価を行う.今回はケーススタディとして,芝浦工業大学とも関わりがある,さいたま市の「さいたま発の公民学によるグリーン共創モデル」を扱う.

16:50-18:20 Session 4A: 構想発表3A
16:50
GAMを用いた健幸都市実現のための都市空間設計の分析

ABSTRACT. 人口減少,少子高齢化の急速な進展に伴い,住民が主体となって健康づくりに取り組み,「健幸都市」を実現することが極めて重要な課題となっている.地域住民が「健幸」であるためには,日常の身体活動量を増加させることが重要であり,自然と「歩きたくなる」まちづくりへの取り組みがなされている.本研究では,GAMのアプローチを用いて,仮想的な都市空間における人々の移動状況を表現するモデルを構築し,人々がより「歩きたくなる」都市空間設計を明らかにする.

17:00
非購買目的者を考慮した店内人流シミュレーション

ABSTRACT. コンビニ店舗内においての顧客の回遊行動・購買行動に対してマルチエージェントシミュ レーションを用いて分析・検証を行うことを目的とする. また, コンビニを利用する顧客の行動とし て想定され得るトイレの利用や雑誌の立ち読みなどの購買行動を目的としない顧客に焦点を当て, 回遊行動・購買行動のシミュレーションに反映させたいと考えている.

17:10
システム開発企業のキャリアパスにおけるコンピテンシー評価の支援

ABSTRACT. 管理職や技術職といったホワイトカラーの仕事では労働時間と成果が比例しないため評価が難しく,社員のパフォーマンスを正当かつ客観的に評価する方法が課題として挙げられている.そこで優秀な人材(ハイパフォーマー)の行動特性である「コンピテンシー」を用いた評価に注目が集まっている.しかし,コンピテンシーにはハイパフォーマーの定義(コンピテンシー要件)があいまいであること,評価者により評価がずれてしまうという課題が存在する.そのため本研究ではシステム開発企業のキャリアパスにおけるコンピテンシー要件の定量化,評価者間での評価のずれが起こりづらい評価方法の検討により課題解決に向けた提案を行う.

17:20
中学校における教育格差の要因分析

ABSTRACT. 今日の日本は学歴社会と言われており,修学歴が高いほどホワイトカラーへの就職率が高くなるといった,学歴と就職先には強い相関が存在する.また,世帯年収や世帯構成など置かれた環境や背景が学力格差を引き起こしている.さらに,大学進学率に中学3年次の成績が強く影響すると言われている.これらのことから,学校入学段階で学力による振り分けがあまり生じないこと,義務教育の終盤である中学校の教育の格差を縮小させることは,その後の格差を縮小させることに繋がると考えられる.そこで本研究では,中学校において教育の格差が生じている要因を,ICT教育をはじめとする近年の教育体制や地理的要因から明らかにし,格差是正のアプローチを検討する.

17:30
環境の変化に適応する組織の変革プロセスの分析

ABSTRACT. 環境の急激な変化に伴い,組織の変革が必要に迫られている.そこで本論文では,組織と市場環境をモデル化し,環境からのフィードバックにより組織構造が変化していくプロセスをエージェント・ベース・シミュレーションによって分析する.組織の環境への適応は,構造の再構成と学習によって行われる.本実験では,組織は階層型やチーム型などの組織構造をもつ.組織では製品開発を行い,製品を市場に投入する.市場では消費者が各々の選好により製品の購買を決定する.市場からのフィードバックをもとに組織や個人が学習を行うことで組織が環境に適応していく.そのプロセスの分析,さらに組織が施策として組織構造を変化させることによる影響の分析を行う.

17:40
病院薬剤師のシフト最適化プログラムの構築

ABSTRACT. 今日,薬剤師の業務負担増加・複雑化により,シフト作成に多くの労力が生じている.現状のシフト作成においては,個人のスキルや病院のルール,個人の労働負担などを考慮し,かつ手作業での作成を行なっているため,シフト作成者に大きな負担となっている.そこで,本研究は,職員データを活用し,必要とされている制約条件を加味した上で,シフト最適化プログラムを構築することを目的とする.また,病院側の急な微調整,運用コストや連休・育休明けの薬剤師のQOLを考慮し,シフト作成を行う方法の検討も行う.本研究の成果によって,同様の問題を抱える病院や他分野にも活かせるようなシフト作成プログラムを構築し,より簡易的にシフトの作成が行えるようになることが期待される.

17:50
育児休業取得者の発生が他の社員に及ぼす負担に関する定量的評価

ABSTRACT. 近年,女性の活躍推進による労働市場での女性就労者の増加や,男性の育休取得の促進により,会社内の育児休業取得者の増加が促されている.しかし,その取得率は伸び悩んでおり,男性は約13%と女性に比べ未だ低く,男女差が埋まらない.その原因として業務の属人化がある.休業を取得した場合,他社員への業務負担が大きくなることから,休業を取得したくても申請しにくい風潮が形成されている.そこで本研究では,社員の役割や業務を表現したシミュレーションモデルを構築し,業務負担の増減やスケジュールの変動を可視化する.構築したモデルを通じて,育児休業取得率促進のために企業が行なうべき対策を検討する.

18:00
合成人口データにおける心理的属性の割り当て

ABSTRACT. 本研究では,合成人口データに心理学のビッグ・ファイブ・パーソナリティを使用し,心理的属性を付加する.ビッグ・ファイブ・パーソナリティにおける4つのクラスターと確率を用いて,原型となるデータ作成し,合成人口データに含まれる年齢,性別をもとに,作成したデータの数値を調整する手法で,割り当てを行う.本研究によって,個々の心理に基づいた生活を送る人々の行動と,それに伴う現象の傾向を推定すること,人の心理特性を反映したモデル構築が容易になり,迅速に社会現象の研究を可能にすることを目的としている.

16:50-18:20 Session 4B: 構想発表3B
16:50
コンセンサス標準におけるフリーライダー発生のメカニズムに関する研究

ABSTRACT. 近年, 製品システムの複雑化に伴い, 自社ですべてを賄うのではなく, 企業の枠を超えて知識を共有するといったオープンな技術標準が注目されている. 技術を標準化するプロセスの中には, 多様なステークホルダーが参加するコンソーシアムでの合意によって標準を決定するコンセンサス標準がある. そのプロセスでは標準形成のために資源投入が必要であるが標準自体は広く共有されるという集合財としての特徴を持つ. 本研究では, コンセンサス標準において標準形成には参与せずに標準を利用し利益を上げるフリーライダーの発生をシミュレーションすることで, フリーライダー発生のメカニズムについて分析する.

17:00
異文化体験によって生じるカルチャーショックと逆カルチャーショックの違い

ABSTRACT. 異文化体験によるカルチャーショックと,異文化から帰ってきた際に感じる逆カルチャーショックについて,両者にどのような違いがあるのか,ということについて研究する.

17:10
オールハザードに対応するリスク分析システムの構築

ABSTRACT. 予測をはるかに超える被害があった東日本大震災に代表されるように,大規模・複合的で今まで経験したことのない災害が発生する可能性があり,災害対応にあたる人々の対策が困難となっている.そこで本研究では,様々な危機に対して一元化した方法で対応するオールハザードアプローチという考え方をもとに,災害対応にあたる人々が意思決定に利用できるシステムを構築することを目的とする.構築するシステムは自然災害を一元的に扱い,国勢調査とモバイル空間統計による災害曝露人口の推計をベースとし,人命救助の観点から優先順位を考慮してリスクを定義・分析して可視化する.本システムを用いることで,ステークホルダー間の情報共有・意思決定が容易になり,災害対応につながることを期待する.

17:20
エフェクチュエーション理論の意思決定モデル

ABSTRACT. 今回の研究では成功を収めてきた起業家に見られる従来とは異なる思考プロセスや行動のパターンを体系化した意思決定理論である「エフェクチュエーション」をモデル化する。この理論は未来が予測不可能という前提で所与の資源や手段を用いて結果を創り出していくことに重きを置くアプローチで、まずはアブストラクトモデルを作成し、起業家の意思決定支援を行えるようにすることを目的とする。

17:30
救急医療シミュレーションプラットフォームの構築

ABSTRACT. 救急医療では,高齢化により急病患者の需要が増加している.一方で救急隊の人手不足や,急病患者を扱う医療機関の減少など対応が追いついていない現状がある.これらの複数要因により、医療機関への受け入れ調整の照会回数増加や,救急車の平均搬送時間増加といった救急搬送困難事案が発生している.救急搬送困難事案は、一人でも多くの命を救うためにも早急な改善が必要である。また,現行体制の改善だけでなく、人口動態の変化に伴う救急医療需要の変化を見据え、持続的に質の高い救急搬送・受入医療体制を実現するための整備や施策立案をする必要がある.本研究では,救急搬送困難事案に対して,患者や政策的観点から救急医療体制の評価・分析を行うことを目的に,救急患者の発生から退院までの一連のプロセスを表現可能なシミュレーションモデルを構築する.

17:40
就職活動のゲーミングモデルの構築とシミュレーションによる認知向上効果の検証

ABSTRACT. 就職活動は大学生の人生に大きな影響を与えるが、多くの大学生は採用の評価軸に十分な理解がないまま活動を進み、結果的に希望する企業に入社できず、社会的にもミスマッチングを生じる。杉浦(2020)らによると、ゲーミングシミュレーションによって学習者が楽しいと感じながら対象への理解を深めることができる。本研究では就職活動のゲーミングモデルを設計し、評価軸に対して理解を深められるか、そして学習者がゲーミングモデルをどう評価するか、を目的とするシミュレーションとその効果検証を行う。

17:50
ナッジによるデジタル社会実験-エスカレーターにおける行動変容-

ABSTRACT. エスカレーターにおいて右側歩き、左立ちという状況にピクトグラムという形のナッジを既存のナッジモデルを適用できるか考察し、データの整合性を取り、社会実験を行わずに行う。さらに、デジタル社会実験を行うことができるようにナッジモデルを作成する。

18:00
面接選考において応募者のパーソナリティを効果的に測定するための事前選考書類の活用法の開発

ABSTRACT. 本研究では,各選考で単一での評価がなされがちであり,また面接選考への依存度が非常に高いという特徴を持つ現在の新既卒者採用試験において,未だその活用方法の検討がほとんど為されていないといえる履歴書や適性検査等の事前提出書類に焦点を当て,分析を行うことで,選考プロセス全体での評価制度の向上や,高い(or低い)就業成績を残す社員の特徴抽出を目指す.