SOCSYS040: THE 40TH SYMPOSIUM OF TECHNICAL COMMITTEE ON SOCIAL SYSTEMS
PROGRAM FOR WEDNESDAY, SEPTEMBER 2ND
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09:30-10:15 Session 6A: 自治体施策の形成と効果評価
09:30
デマンド交通運行エリア構築シミュレーション結果に基づく自治体の類似性評価・分類手法開発の構想

ABSTRACT. 自治体の施策検討では,類似した自治体の施策や事例を参考にすることが有用である.従来,人口や産業構造などの地域特性に基づく自治体分類が行われているが,これらの特性が類似していても,施策を実施した際の効果が同様になるとは限らない.そこで本研究では,自治体をシミュレーションにおける状況として捉え,その結果に基づいて自治体間の類似性を評価し,分類する手法を構築する.また,デマンド交通の運行エリア構築に関するシミュレーションを実施し,その結果に基づく自治体分類を行い,最終的に施策の実施結果が類似する自治体を把握し,自治体間で施策検討の知見を共有できる手法の確立を目指す.

09:40
自治体における施策形成プロセスの設計

ABSTRACT. 近年,人口減少や財政制約,行政課題の複雑化を背景として,自治体には多様な知識と根拠を活用した施策形成が求められている.本研究は,自治体の施策・計画立案を支援する既存手法の特徴を把握し,施策形成に必要な機能とその接続過程を明らかにすることを目的とする.まず,スコーピングレビューを実施し,既存の立案支援手法について,対象領域,分析手法,出力,利用主体及び参加段階を整理した.次に,採択文献を初期資料集合として批判的解釈的統合を行い,文献に記述された活動,主体,成果物,判断,修正,受け渡し及び後続利用の関係を分析した.さらに,分析から生じた概念上の空白や未確定の接続を検討するため,施策形成に関する既存のプロセス研究と,自治体の計画書,行政資料,会議録等の実務資料を追加資料として収集・統合する.分析の結果,既存研究が詳しく扱う支援機能と,十分に記述していない施策形成上の接続過程が明らかになった.以上から,個別の分析手法だけでなく,関係主体の参加,成果の受け渡し,判断,修正,制度化及び実装を一体的に捉える施策形成プロセスを設計する必要性が示唆された.

09:55
平行トレンド仮定不成立下におけるエージェントベースシミュレーションを用いた因果推論手法

ABSTRACT. 因果推論では,観測できない反実仮想を推定することで施策効果を評価する.代表的な手法である差分の差法は,施策が存在しなかった場合に処置群と対照群が同様に推移するという平行トレンド仮定を必要とする.しかし,施策受容と自発的な行動変容が共通の要因から生じる場合,両群の潜在的な推移が異なり,この仮定が成立しない可能性がある.本研究では,このような状況における施策効果推定を支援するため,個人の意思決定や社会的相互作用を明示的に表現できるエージェントベースシミュレーション(ABS)を用いた手法を提案する.具体的には,感染症流行下のワクチン接種と自粛行動をモデルケースとし,自発的行動変容を生み出す複数の内部メカニズムを比較した上で,選択したモデルから施策が存在しない反実仮想を生成し,施策効果を推定する手法を提案する.

09:30-10:15 Session 6B: 参加・合意形成の設計と評価
Location: 第5研修室
09:30
シナリオ分析における3種類の論理的推論が理解・納得に与える影響の分析にむけて

ABSTRACT. エージェントベースシミュレーションの活用には,利害関係者がモデルの分析や設計に関与する参加型のプロセスがあり,対象への納得感や自分ごと感の醸成が期待されている.一方で,参加者の理解や納得を深めるために,どのような思考や行動を促すことが有効かについて,共通した考え方は定まっていない.この点に関連して,こうしたプロセスで行われる活動の一つであるシナリオ分析では,演繹・帰納・アブダクションの3つの推論モードが用いられることが示されている.そこで本研究では,推論モードの違いがモデルや結果に対する理解・納得に与える影響を明らかにし,参加型プロセスをより効果的に設計するための知見を得ることを目指す.

09:40
社会的合意の形成に向けたステークホルダーの意図把握手法の設計

ABSTRACT. 公共事業計画の議論過程を示す社会的合意形成では,ステークホルダーの関心・懸念・価値が交錯し,合意が停滞しやすい.既存研究では,参加の場を設計し意見収集・協議を行う一方,意図の共有・構造分析から意思決定の変化まで扱う研究は限定的だった.本研究では合意形成過程を対象に,各主体の判断理由・懸念点と一致・対立関係を把握し,他者理解と合意案検討への影響を明らかにする.そこでステークホルダーの賛否だけでなく受容条件や妥協範囲の把握に着目し,Qソート,CDM,RGT,DCE,条件追問を配置して個人の意図を段階的に把握する手順として接続した.また,意見のみならず個人の価値観や選好を抽出するためのプロセスを設計した.

09:55
SPDにおけるロジックモデルを用いたワークショップの客観的評価手法の提案

ABSTRACT. デジタル社会実験(Societal Prototyping Design; SPD)は、エージェントベース社会シミュレーション(ABS)とワークショップ(WS)を組み合わせ、ステークホルダーの納得感を醸成しながら社会施策を共創する枠組みである。WSの目的は、参加者の施策理解を深め、納得感の醸成につなげることにあるが、その評価は現状、参加者の自己認識に基づく主観的なアンケートにとどまっており、客観的な学習評価には至っていない。本研究は、Kirkpatrick(1979)の4段階評価モデルにおける Level 2(学習)の操作化として、参加者がWS中に作成するロジックモデルの軌跡を用い、シミュレーション結果との構造類似度を定量指標とする客観的評価手法を開発した。

09:30-10:15 Session 6C: 情報接触と政治・集団行動
Location: 第6研修室
09:30
パネルデータに基づく流動的な政党支持層の投票意思決定モデルとシミュレーション

ABSTRACT. 選挙において、個人の政党支持や投票意向が変化し、その変化が他者の支持や意向に影響を与えると考えられる。Sobkowicz(2016)は、選挙データを用いたABMにより政党支持の集団動態を分析した。本研究では、パネルデータを用いて個人の支持状態の遷移をモデル化する。まず、実データから推定した遷移確率に基づく個人ベースのモデルを構築し、個人の意思決定の集積による社会全体の支持率推移の再現性を検討する。次に、エージェント間の相互作用を導入したネットワークモデルへ拡張し、ミクロレベルの個人間相互作用がマクロレベルの支持動態に与える影響を分析する。

09:40
有権者の投票行動における制度的要因と心理的要因が与える影響
PRESENTER: 賢希 柳田

ABSTRACT. 本研究は,日本の有権者の投票行動を対象に,制度的・心理的・社会的要因の相互作用を明らかにし,投票率向上施策を検討することを目的とする.先行研究から投票行動に関わる要因を整理し,年代別の心理状態,対人・マスメディア・インターネット・候補者・行政との情報接触,生活行動,期日前投票をSOARS上に実装した.現在,実データを用いたパラメータ設定とモデルの妥当性確認を進め,施策のシナリオ分析を目指している.

09:55
二層ネットワーク環境における誤情報拡散と訂正行動のエージェントベースモデル分析

ABSTRACT. 近年,SNSの普及に伴い,誤情報の拡散が社会的問題となっている。従来研究では,単一ネットワーク上での誤情報拡散や訂正効果が主に分析されてきた。しかし,現実の情報伝播では,公開型SNSだけでなく,家族や友人間の親密なコミュニケーションも重要な役割を果たしており,異なる情報空間間の相互作用を考慮する必要がある。そこで本研究では,公共伝播層と親密関係層から構成される二層Agent-Based Modelを構築する。各エージェントに情報受容特性や関係性に基づく個人差を導入し,親密関係層における訂正行動が公共伝播層の誤情報拡散へ与える影響を分析する。シミュレーションにより,親密関係層を活用した訂正介入の有効性と誤情報抑制条件を明らかにする。

10:25-11:10 Session 7A: 格差・排除と社会構造
10:25
合成人口データに対する要介護度属性追加手法の検討

ABSTRACT. 日本では高齢化の進行に伴い,介護需要の増加が予想されており,地域ごとの介護需要を把握するための社会シミュレーションが重要となっている.合成人口データは個人単位の仮想人口データであるが,要介護度は標準的な属性として含まれていない.そこで本研究では,既存の合成人口データに対し,介護保険事業状況報告,国民生活基礎調査等の公的統計を組み合わせ,非該当,要支援 1・2,要介護 1~5 の 8 分類からなる要介護度属性を付与する手法を検討する.複数の統計から得られる周辺分布を用いて属性の組合せを推定し,IPF 等の手法による要介護度属性の付与を行う.生成された要介護度属性付き合成人口と公的統計を比較し,要介護度分布の整合性を評価する.

10:35
日本社会における社会的排除の構造と動態のモデル化
PRESENTER: 彩由 油井

ABSTRACT. 社会的排除は、経済的困窮だけでなく、雇用、健康、社会関係、制度アクセス、住宅等の不利が重なって進行する多次元的・動態的現象である。しかしScRから、既存研究は領域や規定要因の提示に偏り、要因間の因果連鎖、累積メカニズム、長期的影響や日本固有の進行経路の検討が不十分と判明した。そこで本研究は、日本の社会的排除の構造と進行過程を明らかにし、介入可能性を検討する。RQとして、状態別規模・領域構成と、深刻化・回復に至る遷移過程を問う。現在、これを6領域・4状態に操作化し、JHPSによる人口分布推定とSD・ABMの整合性を確認するとともに、援助要請と制度接続を組み合わせた介入が回復を促す可能性を示した。

10:50
公平志向の主体からなる社会における資産集中の構造的機構

ABSTRACT. 実験研究は人間が公平な分配を志向することを繰り返し示す一方,現実の資産分布は極度に偏っている.本研究はこの矛盾を,個人の道徳ではなく相互作用の構造の問題として扱う.固定した公平志向をもつ主体がトーラス格子上で最後通牒ゲームを繰り返し,分配結果が次期の接触範囲αと提案者確率βを規定するエージェントベースモデルを構築し,N=1024・30試行で検証した.集中の主因は接触範囲ではなく役割の資源依存的な再配分であり(β単独効果はα単独の約4.5倍),その実体は資源優位者を提案者に就けることではなく,劣位者を不得手な応答者役に固定する相互強化の螺旋である.勝者は例外なく単峰,上位裾は冪律にならず,進行は対数的に減速する.構造は差異を創らず増幅する.

10:25-11:10 Session 7B: 地域人口・生活行動と生活基盤
Location: 第5研修室
10:25
逐次多段階ロジットモデルによる1日の生活行動のモデル化

ABSTRACT. 本研究は,加茂モデルにEttemaらの状態依存変数(TIMES・SINCE・COUNT)を導入し,活動履歴や時間制約に応じて逐次的に意思決定が変化する住民行動モデルを構築することを目的とする.これにより,活動選択の現実性と再現性を高め,都市政策・商業施策の効果をより妥当に評価できる逐次多段階ロジットモデルの実現を目指す.

10:35
事業所数の経年変化からみた生活必需サービス施設における撤退水準の検討

ABSTRACT. 人口減少・高齢化が進む地域では、生活必需サービス施設の縮小が懸念される。本研究では平成21年および令和6年の事業所数データを用い、政令指定都市を除く全国1,721市区町村を対象に、2009年から2024年にかけての事業所数の減少有無を目的変数としたROC曲線分析を行った。美容業でAUC0.806という高い判別力を確認したほか、通勤構造・人口動態・世帯構成に関する指標が業種横断的に有意な判別変数となり、Youden's Indexにより業種ごとに撤退リスクが上昇する具体的な閾値を算出した。高齢世帯構成に関する指標は、有意な組み合わせの全てで撤退リスクを高める向きに作用しており、人口減少とは独立した高齢化自体の影響が示唆された。

10:50
国勢調査ミクロデータとの比較による合成人口データの地域粒度別有用性評価
PRESENTER: 翔 小野寺

ABSTRACT. 実地域を対象とする社会シミュレーションで合成人口データを利用するためには,公開統計との整合性だけでなく,実際の世帯構成をどの程度再現しているかを評価する必要がある.本研究では,平成27年国勢調査ミクロデータを合成人口データと比較可能な形式へ変換し,長野県松本市を対象として世帯構成員の年齢に基づく有用性評価を行う.さらに,市全体で世帯を対応付ける評価と,同一小地域内に対応候補を限定する評価を比較する.その結果,世帯間の年齢差が0である世帯の割合は低下し,比較不能世帯の割合は増加した.また,小地域別評価を大阪府和泉市にも適用し,同様の傾向を確認した.これらの結果から,世帯構造の再現性を確認するためには,自治体単位の整合性だけでなく,小地域単位の整合性を確認する必要があることを示す.

10:25-11:10 Session 7C: 社会・経済システムの動態
Location: 第6研修室
10:25
供給網における環境要求伝播と資金制約が企業対応に与える影響に関するABM分析に向けて

ABSTRACT. 近年,企業には脱炭素やESGへの対応が求められているが,環境対応には設備投資,管理体制,情報開示などの負担が伴い,企業の資金制約により対応能力は異なる.また,環境要求は企業単体で発生するだけでなく,川下の買い手企業から川上の供給企業へ取引関係を通じて伝達される.本研究では,企業タイプ別・多層供給網ABMを構築し,環境要求の集中が未完了要求や財務圧力に与える影響を分析する.さらに,脆弱企業優先支援やハイブリッド支援などの政策シナリオを比較し,負担集中を緩和する支援配分の可能性を検討する.

10:35
日本における実質賃金の変化と経済指標の予測的共変動 -集計時系列データによる実証分析-

ABSTRACT. 本論文は、日本の四半期データを用い、所定内給与と家計消費、労働市場、企業活動、マクロ経済との動学的な関連を検討する。分析は、事前に推論方法を固定した確認的検定と、実質所定内給与を起点とする探索的な共同動学分析の二段階で行った。確認的分析では、所定内給与から11指標への予測関係を検定したが、候補は0本であった。探索的分析では、総実労働時間が正方向に動いたものの、変数順序を変えると維持されず、経路別の不確実性も大きかった。以上は、賃上げの因果効果や特定の波及経路を示すものではなく、観測された賃金変化に続くモデル条件付きの動学的関連として解釈される。

10:50
世帯動態を考慮した模擬世帯個票レベルの将来推計

ABSTRACT. 現在,合成人口データは,公開されている2000年,2005年,2010年,2015年の国勢調査に基づいて世帯構成員の個票の合成を行っている.合成に必要な国勢調査の統計表が公開されるには調査後2年以上が必要であるため,合成までに時間差がある点が課題である。そこで本研究では,合成された過年度合成個票に基づいて,出生,死亡,世帯統合,世帯分離を考慮して世帯構成の動態推計を行う.2015年の合成個票を用いて将来推計を行い,正確な推計に必要な動態について検討を行う.

11:15-12:00 Session 8A: AI・生成モデルによる人間・社会表現
11:15
エージェントベースモデリングを用いた生成AIによる組織学習への影響分析

ABSTRACT. 生成AIは個人の成果を高める一方,利用者が共通の提案源に依存することで,組織内の探索が同質化するおそれがある.本研究では,各個人が自らの直近の成果に基づいてAIの利用確率を更新するエージェントベースモデルを構築し,個人にとって望ましい利用の積み重ねが,組織にとって過剰な依存に行き着くかを検証する.さらに,組織構造やAIの利用のしかたによって過剰依存がどう変わるかを分析し,個人の短期的な便益と,組織の認知的多様性や環境変化への適応力とを両立できる条件を探る.

11:25
労働生産性に影響するコミュニケーション要素の体系的整理とAIエージェントを用いた影響分析

ABSTRACT. COVID-19以降、働き方の多様化に伴い、職種・状況・従業員特性に応じたコミュニケーション設計が求められている。体系的レビューにより56件の既存研究を整理した結果、個別のコミュニケーション要因と労働生産性の関係は多く示されている一方、要素間のつながりや強弱を統合的に分析した研究は十分ではなかった。本研究では、コミュニケーションの構成要素とその相対的な影響を明らかにすることを目的とする。現在までに、成果へ至る概念的な構造と「成果量/労働投入量」という生産性の測定枠組みを整理し、AIエージェント実験では、モチベーション値の変化等を指標として、否定的・構造的な応答がエージェントのモチベーションや発話行動に影響する傾向を確認した。

11:40
日本の活動スケジュール合成に向けた米国生活時間調査を用いた条件付き拡散モデルの事前学習
PRESENTER: 順 横山

ABSTRACT. エージェントベースシミュレーションで用いるアクティビティベースモデル(Activity-Based Model)では,年齢,性別等の社会属性のみが付与された合成人口データでは不十分であり,個人ごとの日次活動スケジュールが必要である.日本では,プライバシー保護の観点から社会生活基本調査の個票が公開されておらず,実データから直接合成することは難しい.本研究では,個票が公開されている米国生活時間調査(American Time Use Survey; ATUS)を用いて深層生成モデルを事前学習し,日本の集計統計に適合するよう微調整する.本稿では第一段階であるATUSを用いた条件付き拡散モデルの事前学習を報告する.

11:15-12:00 Session 8B: 生成データとシミュレーションの妥当性
Location: 第5研修室
11:15
LLM駆動型社会シミュレーションに向けた属性を考慮した合成人口データへの個性の付与手法の構想

ABSTRACT. 近年,社会シミュレーションでは,エージェントの意思決定に大規模言語モデル(LLM)を用いることで,人間らしい行動の再現が可能となっている.このようなLLMを用いた社会シミュレーションは,地域の住民を再現して政策や施策の効果を評価できるため,特定の地域を対象として用いられることがある.地域の住民を忠実に再現するためには,エージェントに属性情報や個性特性を付与する必要がある. そこで本研究では,地域の人口構成を反映した属性情報を持つ合成人口データに対し,年齢,性別,収入などの属性を考慮した個性特性を割り当てる.これにより,LLM駆動型社会シミュレーションで利用可能な個票データの作成を目指す.

11:25
自治体の政策決定を支援するエージェントベース社会シミュレーションにおけるシリコンサンプリングの評価基準

ABSTRACT. 大規模言語モデルによるシリコンサンプリングは,自治体の政策立案を支援するエージェントベース社会シミュレーションの行動モデルのためのデータの不足を補う手段となり得る.しかし,文脈依存的な行動には複数の尤もらしい選択肢が存在することが多く,人間の一時点の回答との一致度だけでは,生成データの質を適切に評価できない.本研究では新潟県加茂市を対象とし,LLMが生成した日常行動の受容性を評価するための3つの基準を提案する.これらの基準により,個々の行動の評価のみではなく,マクロレベルにおける行動パターンの現実性も評価することが可能となる.さらにシリコンサンプリングを発展させるための基礎的知見を提供する.

11:40
生成データのランダム性を考慮した機械学習による生活行動生成

ABSTRACT. 既存の生活行動生成モデルによる生成データに関して,コミュニティ全体としては統計に一致するものの,個々のエージェントの活動を観察すると,頻繁な行動の切り替えが発生していることがあるという問題が存在する.この問題を解決して各地域ごとの特徴を反映した生活行動生成を行うため,著者らは機械学習モデルによる生活行動生成を行ってきたが,先行研究では生成されたスケジュールが同入力に対して必ず同出力になってしまっていた.本研究では,生成されたスケジュールの多様性を確保可能なモデルを構築するのに加え,実行時間の短縮などの既存のアルゴリズムの洗練なども同時に実行する.

11:15-12:00 Session 8C: 不確実性下の探索と意思決定
Location: 第6研修室
11:15
順序付き購買データを用いた大規模言語モデルとSASRecによる小売実店舗での逐次推薦手法の構想
PRESENTER: 翔哉 佐々木

ABSTRACT. 近年,小売実店舗では,その場で商品をスキャンし決済できる決済機能付きカートが導入され,カート上の商品表示による購買促進が期待されている.しかし,購買履歴のみに基づく従来の推薦手法は,消費者が何を目的に商品を購入しているかを考慮できない.購買目的は購買履歴に記録されない情報であり,履歴データだけからは扱えない.そこで本研究では,大規模言語モデルの外部知識を用いて商品の購買目的をテキストとして生成し,購買履歴の系列から消費者の次の購入を予測する逐次推薦モデルSASRecへの入力に活用することで,消費者の購買目的を考慮した逐次推薦手法の実装を目指す.

11:25
エフェクチュエーションとコーゼーションに基づく起業家の意思決定ダイナミクスのモデル構築

ABSTRACT. 高度な不確実性に直面する現代において,起業家の価値創造における思考様式であるエフェクチュエーションとコーゼーションの動的切り替えメカニズムの解明が求められている.本研究では,スターバックス社の事例分析を基に,環境の不確実性と保有資源からベンチャースコーピングを介して思考様式を動的に切り替えてビジネスを創造していく起業家の意思決定モデルを提案する.そして遺伝的アルゴリズムの枠組みを応用して事業アイデアの探索と最適化のプロセスを数理的に定式化し,シミュレーション実験を行う.得られた結果とReymenら(2015)の実証研究で示されたベンチャーの発展段階に伴う意思決定パターンを比較し,提案モデルの妥当性を検証する.

11:40
自律型LLMエージェント集団における情報探索量の個体差が選択の収束過程に与える影響

ABSTRACT. 自律的に作業を遂行するAIエージェントを社会シミュレーションのエージェントに適用する試みが行われている.しかし,同一のLLMを共有するエージェント集団では,情報探索過程が均質化することで,選択の多様性や集団の収束過程を十分に表現できない可能性がある.そこで本研究では,購買行動の製品選択時に,情報の探索量に個体差を持たせることによって,集団の結果の多様性と収束過程に与える影響を分析した.結果としては,探索量を均一にした場合と比べて,個体差を持たせた場合では最適な商品の採用率が段階的に上昇する傾向が確認された.ただし,この傾向は全シードに共通せず,初期条件への依存も示唆された.