SOCSYS039: THE 39TH SYMPOSIUM OF TECHNICAL COMMITTEE ON SOCIAL SYSTEMS
PROGRAM FOR TUESDAY, MARCH 10TH
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08:10-09:25 Session 12: ロング発表(3)
08:10 深層学習を用いた建物の利用用途判別と判別結果を用いた合成人口における世帯割り当て
ABSTRACT. 近年,社会制度の分析などに用いられる手法として社会シミュレーションが注目を集めている.社会シミュレーションを行う際には,実社会を模倣したモデル作成が必要とされる.このモデル作成に使用される情報源の1つとして合成人口データがある.しかし,現状の合成人口データにおける世帯の位置情報は,世帯が属する町丁目内の建物に無作為に割り当てが行われており,現実に即したものとは言い難い.そこで,本研究では公開されている情報や深層学習を用いて建物の利用用途を分類し,それらの結果を用いて世帯を割り当てる手法を提案する.実験の結果,建物の利用用途判別においては,87.2%の建物を正しく判別することに成功した.また,判別結果を用いた愛知県における世帯割り当てにおいては,実際の統計指標との平均誤差率を5\%前後に抑えることに成功した.
08:35 LLM 駆動型社会シミュレーションに向けた合成人口データへの個性の割り当て
ABSTRACT. LLM駆動社会シミュレーションに向け,多様性を持たせるためにLLMエージェントに対して性格などの個性を割り当てる研究が行われているが,エージェントの属性情報と個性の関係性に考慮できていない.そこで本研究では,合成人口データに適切な個性を割り当てることで,個票データを作成した.具体的には,LLMに合成人口データの属性とビッグファイブ性格特性(ドメイン・ファセット)を割り当てSSM調査に回答させた.そして,LLMの回答分布と実データの回答分布の総絶対誤差を指標として最適化を行った.結果としては,86.76\%の回答エージェントが実データに即した回答をしたことで,割り当て手法としての有効性を示すことができた.
09:00 合成人口データにおける全自治体の就業者への従業地割当て
ABSTRACT. We propose a nationwide workplace assignment framework that simultaneously considers the na- tional statistics of workers in residence municipalities, workplace municipalities, and industry of workers. We address the lack of workplace-side consistency in Japanese synthetic populations that were mainly synthe- sized from residence-side statistics. We employ a multidimensional iterative proportional fitting procedure to estimate a consistent joint distribution while keeping the residence-workplace-industry statistics that are publicly released only for large municipalities. Workers are then assigned workplace municipalities stochas- tically conditional on residence and industry. Workplace locations are further refined to intra-municipality small areas using Economic Census. Experiments show improved agreement with official statistics at both municipality and small-area levels, enabling realistic nationwide daytime population simulations.
09:40-11:20 Session 13: ロング発表(4)
09:40 中所得国の罠におけるビッグプッシュ政策の有効性: 進化ゲーム理論による動学的分析
ABSTRACT. 中所得国の罠は,新興国が政府と企業のコーディネーション不全によりイノベーション主導型成長への移行に失敗し,停滞に陥る現象だ.この罠からの脱出策として大規模介入を行うビッグプッシュ政策が提唱されたが,能力構築の時間遅れを伴う動的な移行プロセスや,具体的な介入条件については不明点が多い.本研究では進化ゲーム理論を用いたモデルを作成し,罠の発生メカニズムを再現するとともに,脱出に必要な政策介入の強度と期間に存在するトレードオフ関係を解明する.
10:05 多重認知ハイパーゲームを用いた最後通牒ゲームの戦略的動機分析
ABSTRACT. This paper analyzes the behavioral mechanisms of proposers in the Ultimatum Game using "Hypergame with Multiple Cognitions (HMC)," a framework that addresses the uncertainty of players' subjective cognitions. In the Ultimatum Game, the phenomenon of proposers making fair offers is considered to be driven significantly by "strategic motives" to avoid rejection by the responder. In this study, we modeled a situation in which the proposer simultaneously considers two distinct possibilities regarding the responder's reaction—"economic rationality" and "emotional rejection"—and subjectively estimates their probabilities of occurrence based on the unfairness of the offer. Simulation results using experimental data from Chen et al. (2017) demonstrated that the nonlinear selection trends observed in the experiment could be reproduced with high accuracy by assuming that the proposer's sensitivity to rejection risk follows a truncated normal distribution with a mean of 1.8. These results suggest that fair offers are not merely a product of altruism but the result of strategic expected payoff maximization that incorporates rejection risk, thereby demonstrating the effectiveness of HMC in describing human decision-making processes.
10:30 ハイパーゲームによる搾取のモデル化と事例分析
ABSTRACT. This paper analyzes exploitation arising from persistent misperceptions using hypergame theory. Exploitation is defined as a stable outcome in which a player’s subjective Nash equilibrium is preserved despite deviating from the Nash equilibrium of the base game, resulting in a payoff gain for the exploiting player and a loss for the exploited player. We formalize this as Hyper Exploitation, examine its properties in normal- and extensive-form games, and illustrate the mechanism through a case study of price negotiations between an automobile manufacturer and a supplier.
10:55 インターネット広告におけるターゲティングが売上および広告疲労に与える影響
ABSTRACT. 近年,インターネット広告ではターゲティングの高度化が進む一方,過剰接触による広告疲労の問題も指摘 されている.そこで本研究は,ターゲティング条件の違いが売上および広告疲労に与える影響を明らかにすること を目的とする.広告配信と消費者の購買意思決定の相互作用をエージェントベースシミュレーションによりモデル 化し,ターゲティング強化が平均指標と分布やその構造に与える影響を分析した.その結果,ターゲティングは平 均広告疲労を低下させる一方で広告露出を一部に集中させ,高疲労層の形成を通じて累積購買数を抑制し得ること が示された.本研究は,広告露出の分布構造に着目することの重要性を示すものであり,本研究の知見は,配信集 中が生じ得る環境において成立する境界条件を提示するものと位置付けられる.
13:00-15:00 Session 15: JST未来社会創造セッション
13:00 JST未来社会創造事業「デジタル社会実験」プロジェクト 〜3年目を終えて
ABSTRACT. 我々は,2023年4月より,JST未来社会創造事業「超スマート社会の実現」領域の本格研究として,「人間中心の社会共創デザインを可能とするデジタル社会実験基盤技術の開発」プロジェクトを推進している.本プロジェクトでは,デジタル社会実験を活
用し,我が国が直面する少子高齢化社会における健幸都市(スマートウェルネスシティ)の実現に向けて,自治体施策の立案を支援する基盤技術の開発に取り組んでいる.本講演では,今年度までの取り組みを概説するとともに,今後の研究展開について紹介する.
13:25 新潟県加茂市におけるデジタル社会実験の紹介
ABSTRACT. 自治体の政策検討において参加者の学習や納得を促すことを目的とした,エージェントベースのデジタル社会実験方法論を構築し,新潟県加茂市にてワークショップを実施した.その構成は(1)シミュレーションモデルの概説,(2)仮想市民になりきった行動計画の作成,(3)政策の予測効果に基づく論理モデルの議論からなる.講演ではそれぞれの内容について概観し,従来的な方法論との違いを説明する.
13:50 大規模地域施設データの収集
ABSTRACT. 本発表では、Google Mapsのプラットフォームを活用した、広域における大規模な地域施設データの収集および構造化手法について検討する。APIを用いた動的なデータ抽出プロセスに加え、施設属性や位置情報の管理、多角的なデータ分析の手法を提示する。手動調査では困難な膨大な施設情報の鮮度をいかに維持し、都市計画や経済分析等の実務にどう還元すべきか。技術的なワークフローから具体的な活用事例まで、データ駆動型地域分析の有用性を共有する。
14:15 SOARS Toolkitの合成人口データ/地理情報/公共交通モジュールライブラリを用いたエージェントベースシミュレーション
ABSTRACT. SOARS Toolkitは,役割ステージ指向モデリングに基づくエージェントベースシミュレーションライブラリであり,1億人規模のCOVID19感染シミュレーションを動作させた実績を持つ.SOARS Toolkitは,大規模複雑なシミュレーションを容易にするためモジュール化機能を備えており,SOARSリポジトリ上の複数のモジュールを組み合わせることにより複雑なシミュレーションを容易に実現できる.本報告では合成人口データモジュールと地理情報/公共交通モジュール2つのライブラリを組み合わせたシミュレーションの実現について紹介する.
14:40 JST未来社会創造事業・パネルディスカッション
ABSTRACT. JST未来社会創造事業企画セッション発表者とのパネルセッションです.各報告の関連性や今後のプロジェクトの方向性について議論します.
15:15-16:15 Session 16A: ショート発表(1A-前半)
15:15 ふるさと納税返礼品に対する寄付者の評価と関心の所在
ABSTRACT. 本研究では,ふるさと納税による寄附募集に関する知見を得ることを目的として,北近畿 6 市町を対象として返礼品のレビュー情報を収集し分析した.計 1,385 件のレビュー情報から,寄附 者の居住地や評価,返礼品の価格帯について分析した結果,同じ北近畿地方でも,これらの要素につ いて異なる特徴が確認された.また,レビュー内容の形態素解析を行った結果,居住地や寄附先の自 治体によって寄附者の関心が異なり,低評価レビューの内容に着目すると,寄附者は価格より返礼品 の品質や自治体のオペレーションに関心がある傾向を明らかにした.地方自治体の実務者は,本研究 で得られた知見を活用することで,より効率的なマーケティングやターゲティングが可能となる.
15:25 テーマパーク市場の体験価値とバリューネットワーク構造の再編
ABSTRACT. 本研究は,フランスのテーマパーク市場を対象に,体験価値を基軸としたバリューネットワーク(VN)分析枠組みを提示し,イノベーションのジレンマを再検討する.既存企業は単一価値型VNへのロックインによりジレンマ状況に直面したと解釈できるが,VNの接続構造を複線化することで複数の体験価値を併存させた.本事例は,ジレンマを体験価値の多元化に対応するVN構造の複線化過程として再解釈する可能性を示す.
15:35 大学4年間のGPA推移に関する共分散構造分析
ABSTRACT. 大学生の成績に影響を及ぼす要因は様々存在するが,特に日本の大学においては入学時点の学力や属性の影響力が強いとされている. 本研究は,私立文系大学の学生6,094名を対象とした時系列データを利用して,4年間のGPA推移を目的変数, 出身高校の偏差値帯,入試種別,ジェンダー等を変数とした共分散構造分析を実施した. 分析の結果,前年度GPAの継続的な影響及び, 3年次までの成績に対する出身高校の偏差値帯による影響が見られ,入学時の学力による正の影響が確認された.一方で,学年進行に伴い出身高校の影響力が減少する同質化傾向が確認された.
15:45 電子カルテ共有が医療費に与える影響分析
ABSTRACT. 本研究は、厚生労働省が推進する電子カルテ情報共有サービスを対象に、東京都の医療機関データ等を用いて、医療機関・患者・行政の相互作用を表現したABMで20年間のシナリオ分析を行った。結果、医療費削減など社会全体では純便益が得られる一方、導入・運用コストが医療機関に集中し純便益は負になりやすいことが示された。導入時期の前倒しと普及速度の向上が効果を左右する。
15:55 生活習慣病対策が医療費に与える影響のモデル分析
ABSTRACT. 本研究は,生活習慣病対策が日本の疾病構造および医療費に与える影響を定量評価することを目的とした.横浜市を対象に生活習慣関連10疾患を組み込んだエージェント・ベース・モデルを構築し,健康日本21および健康横浜21を想定した喫煙・運動・飲酒・健診施策の単独・複合導入シナリオを分析した.その結果,多くの施策で主要生活習慣病の発症率と1人あたり医療費は低減したが,健診による受診増加や高齢層の影響により,複合施策の総医療費抑制効果は限定的であった.施策間の相互作用と年齢構造を踏まえた政策設計の重要性が示唆された.
16:05 階段およびスロープを考慮した車いす利用者と介助者の協調行動モデルの構築
ABSTRACT. 本研究では,階段およびスロープを含む避難環境において,車いす利用者と介助者の協調行動を再現可能な歩行者シミュレーションモデルを構築した.既存の歩行者モデルを融合・拡張し,車いす利用者の移動特性や介助者との相互作用等を考慮した.提案モデルを用いて避難シミュレーションを実施し,介助された人数別の避難時間を分析した結果,全員の介助は「特定個人のための利他行動」を超え,「集団全体の生存確率を最大化させるための合理的戦略」であることが示唆された.
15:15-16:15 Session 16B: ショート発表(1B-前半)
15:15 合成人口データの安定性評価
ABSTRACT. 合成人口データはエージェントベースの社会シミュレーションや地域分析の入力データとして広く利用されているが,多くの生成手法は確率的割当を含むため,同一手法であっても生成結果が変動し得る.本研究では,同一の生成手法により生成された複数の合成人口データが,どの程度一貫した特徴を再現しているかに着目し,生成の安定性を定量的に評価する枠組みを提案する.家族類型と小地域の組合せで定義されるセルを評価単位とし,セル内における最頻属性値がデータセット間で一致する割合に基づいて安定性を評価する.長野県松本市を対象に生成した2015年時点の合成人口データ10セットを用い,筆頭者の従業産業,世帯内最大年齢,夫婦年齢差について評価を行い,属性の種類や評価粒度,分布特性が安定性評価に与える影響を明らかにする.
15:25 Web調査の結果に基づく人--AI共存社会の意見ダイナミクス
ABSTRACT. AIボットや対話ロボットのような対話型エージェントは人の意見形成に社会的影響を与え得る.エージェントが社会的影響源として混在する社会での意見ダイナミクスをシミュレートし,その社会現象を探究すべきである.本研究では,架空の状況において人またはエージェントから提示される意見が個人の判断に与える影響をオンライン調査で取得し,その結果に基づいてシミュレーション内のエージェントの意見更新則を設計する.
15:35 社会的選好と文化特性を反映したナッジ効果の定量的評価モデルの構築
ABSTRACT. ナッジは2017年にRichard Thalerがノーベル経済学賞を受賞してから,世界中の政府や自治体で注目を集めている.また,ナッジは国や文化によって効果・受け入れられる度合いが異なる.しかし,現在は導入するナッジの効果を測るために実証実験を行い,費用や時間の制約が大きい課題がある.そこで互恵性や同調性など社会的選好を反映できるナッジモデルを作成しデジタル社会実験を行うこと,日本だけでなく世界で政策評価として活用できることの2つを目標とする.
15:45 生成AIを用いたマルチエージェントシステムによる社会イベント参加と交通手段選択に関する集団意思決定・議論過程のモデリング
ABSTRACT. 本研究は,従来のルールベース型マルチエージェントシミュレーション(MAS)が抱える表現力および柔軟性の課題に着目し,合成人口データと大規模言語モデル(LLM)を用いたジェネレーティブエージェントによる社会シミュレーション手法を検討するものである.社会的イベントを対象としたシナリオに基づき,エージェントの思考過程,意思決定,およびエージェント間の会話による情報共有を明示的にモデル化し,参加意思決定などの行動予測を行う.特に,関連文献や公開資料を段階的に反映することでシミュレーションの現実性を向上させるプロセスを提案し,その有効性を検証する.
15:55 地方創生施策の実務過程におけるAI実装と研究課題の導出―江津市におけるマッチングとリスク管理の事例
ABSTRACT. 本稿では,地方自治体とテレビ局が共同で推進する地方創生プロジェクトにおいて,現場の実務ニーズから導入されたAI実装が学術研究へと発展したプロセスを報告する.島根県江津市の施策「Go-Con 2nd」において,地域起業家と都市部専門家のマッチングを最適化するAIシステムを実装,運用した.この全5回70組におよぶ実証プロセス,および運用中に生じた技術的課題を契機として,マッチング理論の動的な適用や,LLMのリスク管理フレームワークといった多角的な学術的問いが導出された.本事例は,実社会の制約下にあるフィールドが社会システムデザインの研究において果たす役割を提示するものである.
16:05 人工市場を用いた決済期間が異なる市場間での裁定取 引が各市場に与える影響の分析
ABSTRACT. 株式市場では,取引完了から決済までの日数短縮は決済リスクの削減につながるため,国内の個人投資家にとっては短いほど望ましい.一方,当日決済のように極端に短い場合,海外の機関投資家は事務処理が追いつかず取引が困難となる可能性がある.この課題への対応として,決済期間の異なる複数市場の併設が考えられる.しかし,市場間で裁定取引を行う際には株式の借入が必要となる場合があり,貸株市場が十分でなければ取引が成立せず,価格水準に偏りが生じ得る.本研究では人工市場を用い,決済期間の異なる2 市場を貸株コストを考慮して構築し,貸株コスト増加が価格水準に与える影響を分析した.
16:20-17:20 Session 17A: ショート発表(1A-後半)
16:20 交通事故と急減速の同時予測モデルを用いた発生要因の比較分析
ABSTRACT. 本研究では,自動車交通事故リスクおよび急減速リスクの予測モデルを構築するとともに,両リスクに影響を及ぼす要因を定量的に明らかにすることを目的とする.分析対象は鳥取県鳥取市中心部とし,交通事故発生箇所データに基づいて算出される交通事故リスクを顕在的危険,急減速発生箇所データに基づいて算出される急減速リスクを潜在的危険として定義した.さらに,道路周辺環境要因が両リスクに与える複合的な影響を同時に考慮するため,マルチタスク学習を適用したニューラルネットワークを構築した.加えて,SHAP Interactionを用いることで,各要因の単独効果のみならず,要因間の相互作用効果についても分析した.その結果,交通事故リスクと急減速リスクの双方に共通して影響を及ぼす要因と,各リスクに固有の影響要因とが,それぞれ定量的に示された.
16:30 湖西市新居地区における津波時の車避難に対する信号機滅灯の影響
ABSTRACT. 湖西市新居地区において津波の車避難シミュレーションを行った.一軒家1つにつき車1台とし,各車両はリアルタイムで渋滞情報を参照しつつ1秒ごとに最適な最短経路を選択する.シナリオは信号全点灯,全消灯,5つの信号を1つずつ点灯の計7つである.結果は全消灯のほうが全点灯より避難中の待ち時間と避難所への到着時間が短かった.これにより震災直後の短期避難では信号による無駄な時間ロスが生じ避難が遅れることが分かった.
16:40 合成人口データを用いた鉄道輸送密度の分析
ABSTRACT. 本研究では,合成人口データを用いて輸送密度1,000人未満の線区を対象に需要要因を分析した.駅を中心とした沿線人口を推計し,速度,生産年齢人口,高齢者単身世帯が輸送密度に与える影響を重回帰分析により検証した.その結果,速度と生産年齢人口は正,高齢者単身世帯は負の影響を示し,駅半径約2.2km程度が最も説明力の高いモデルであることを明らかにした.
16:50 自動車交通シミュレーションにおける動的な信号制御による都市規模自動車交通への影響の調査
ABSTRACT. 信号は交通需要が多くなるについてサイクル長を長くする制御をすることで交通容量を増加させ,渋滞発生を抑制できる.本研究では,Suzukiらの既存の都市規模の自動車交通シミュレーションを利用して,渋滞が発生する朝の出勤時間帯で動的に制御される信号のサイクル長を,実際の信号のサイクル長を参考に調整することで,シミュレーション結果に与える影響を自動車交通の再現性の観点から調査する.
17:00 分散計算環境のためのSOARS Toolkitに関する初期検討
ABSTRACT. SOARS Toolkit Ver.2は,Role-Stageモデルに基づくリアルスケールシミュレーションライブラリSOARS Toolkitを並列化により高速化したものである.
しかし,1億人規模のCOVID-19フィルタモデル感染シミュレーションの実行には1TBのメモリを搭載した高価な計算サーバが必要であり,さらに大規模なシミュレーションを実行することは困難である.
本稿では,上述の問題を解決するために,ネットワークで接続された複数の計算ノード間でメモリ空間を分割する分散アーキテクチャの導入を検討した.
また,プロトタイプの実装と100万人,180日間のCOVID-19フィルタモデル感染シミュレーションによる評価実験を行った.
17:10 AIエージェントを用いたSOARSでの社会シミュレーションモデル構築の試行
ABSTRACT. 本稿は速報として,SOARS Toolkitを対象にAIエージェントによる社会シミュレーションモデル構築支援を試行し,初期的所見を報告する.プログラミング経験のない参加者11名を対象に,チュータが意図を取りまとめてAIエージェントへ指示する形で実装を進めた結果,シナリオ分析まで含めて2時間でアブストラクトなABMを構築できた.
16:20-17:20 Session 17B: ショート発表(1B-後半)
16:20 市場急落時におけるレバレッジドETFと先物市場との裁定取引 が市場の流動性に与える影響の調査
ABSTRACT. レバレッジドETF(L-ETF)とは,日経平均株価指数先物など指数と連動する先物を保有して指数の何倍かの価格変動を実現している上場投資信託のことである.これまでに,L-ETF(先物)の価格が下落した場合,L-ETF(先物)市場は裁定取引によって先物(L-ETF)市場の流動性を使い下落幅を抑えることが知られている.しかし,これまでに裁定取引がこれらの市場の流動性に与える影響について体系的に調査されたことはない.そこで本研究ではL-ETF と先物の市場のどちらかで価格が急落したときに,裁定取引の有無によって両市場の流動性(Volume,SellDepth,BuyDepth,Tightness)がどのように変化するのかを人工市場シミュレーションを用いて調査した.
16:30 オンラインサービスにおける子どもの安全や保護を目的とした年齢確認に関する規制動向
ABSTRACT. 本報告では,オンラインサービスにおける子どもの安全や保護を目的とした年齢確認に関して,欧州・米国・日本の規制動向を概観する.オンラインサービスの年齢確認は基本権の制限として捉える必要がある.年齢保証(年齢確認)に用いられた情報(データ)の厳格な目的外利用禁止,データ最小化,脆弱性のある者を対象としたターゲティング・誘導・欺瞞等の禁止,生体データに関する一層の保護が,少なくともセットで必要となると考えられる.欧州やカリフォルニア州の動向を踏まえると,データ最小化を実現する手段として選択的開示技術の実装や,層化されたシグナルをデバイスやブラウザ等のレベルで送信するという方法が今後広がる可能性が考えられる.
16:40 意外な情報に対する好奇心喚起プロセスの異質性分析
ABSTRACT. 近年,情報が人々の関心とどのように結びつくのかを理解することが重要となっている.本研究では,選挙を題材とした先行研究の心理プロセスモデルを基盤とし,有権者の知識量・性別・年齢といった個人特性を考慮した好奇心喚起過程の異質性を分析した.その結果,基本構造は共通である一方,既有知識との不一致から興味への変換過程に個人特性による感度差が確認された.
16:50 消費者の採用判断に着目したイノベーションのジレンマの再検討―複数事例に基づく比較分析―
ABSTRACT. 本研究は,イノベーションのジレンマを,新技術の性能向上の成否としてではなく,消費者の採用判断の変化という観点から再検討することを目的とする.小型HDD,ネットブック,iPhone,3Dテレビの複数事例を比較分析し,消費者の採用判断が,性能や価格に加えて,操作性,心理的抵抗,社会的評価,学習・切り替え負担といった複数要因を統合した基準に基づいて形成されることを示した.さらに,この統合的な採用基準が時間とともに変化する点に着目し,新技術と消費者の採用基準との相対的関係を分析した.その結果,イノベーションのジレンマの発生・非発生は,新技術の性能向上そのものではなく,消費者の採用基準との相対的関係およびその変化によって分岐することが明らかとなった.
17:00 シミュレーション結果の理解を支援する情報デザインの効果検証
ABSTRACT. 本研究は,シミュレーション結果の理解促進を目的として,インフォグラフィックを用いた情報デザインが短時間での構造理解をどの程度支援するのかを検証した.新潟県加茂市におけるABSS活用型政策検討の取り組みにおいて,ABSS結果を再構成した情報シートを用い,市職員5名が6分間という制約下でロジックモデルを修正した.その結果,市民全体への影響は高精度に把握され,市民像別の効果についても一定の理解が確認された.