SOCSYS038: THE 38TH SYMPOSIUM OF TECHNICAL COMMITTEE ON SOCIAL SYSTEMS
PROGRAM FOR WEDNESDAY, SEPTEMBER 3RD
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09:15-11:30 Session 5A: 研究発表4-A

Room: 1311

09:15
ご当地VTuberのキャラクター設計が視聴者の印象形成に与える影響に関する研究

ABSTRACT. 本研究は,商店街の活性化に向けた新しいプロモーション手法として,ご当地VTuberの活用に焦点を当てる.特に,VTuberのキャラクターデザインにおける視覚的特徴と性格的特徴のギャップが,視聴者の印象形成に与える影響を分析する.先行研究で示唆されている「視覚的特徴から性格的特徴への写像」という仮説の妥当性を検証し,その結果に基づき,商店街PRに最適なVTuberキャラクター設計の指針を導出することを目的とする.これにより,地域経済の衰退という社会課題に対し,デジタル技術を活用した実践的なソリューションを提示する.

09:30
大規模イベントにおける帰宅分散を促す インセンティブ施策の定量評価
PRESENTER: 悠貴 中浦

ABSTRACT. 2020年以降の感染症拡大により,大規模イベント施設において退場時の混雑緩和が重要視されている.特にスタジアムでは,イベント終了の合図により観客の退出行動が時間的に集中し,出口周辺に滞留が発生する.一方で強制的な誘導は観客満足度を損なう恐れがある.そこで本研究は,退出行動の時間的分散を促すインセンティブ施策の有効性を,ABS(Agent-Based Simulation)を用いて定量的に評価する.

09:45
組織内政治と両利きの経営の相互作用に関する考察:政治的ゲームと組織学習のダイナミクス
PRESENTER: 和貴 佐藤

ABSTRACT. 企業は現在において既存事業を効率化・洗練する「深化」将来の基盤となる新規事業を生み出すために必要な「探索」の両方が必要であり,それらを両立する能力は「組織的両利き性」と呼ばれ注目を浴びており,両利き性の研究では組織内政治がしばしば取り上げられる.本研究では,シミュレーション手法を用いて,組織内における政治に着目し,組織内政治が組織的両利き性に与える影響を分析する.また,組織的両利き性は組織学習の上に成り立つと考えられることから,組織内政治と組織学習の関係についても考察し,知見を得ることを目的とする.

10:00
Agent-Based Multilayer Model of Cultural Dynamics in State-Owned Enterprises during Post-Merger Integration

ABSTRACT. This paper develops a dual-stage multi-layer agent-based model, grounded in an extended NK fitness landscape, to analyze post-merger integration (PMI) in state-owned enterprises (SOEs). It integrates managerial cognition (intensity, bias, experience), acculturation modes (integration, assimilation, separation, reverse merger), and institutional resource preference to capture SOE-specific dynamics. Simulations reveal that cognitive intensity aids exploration but risks rigidity, bias impairs decisions, and experience offers conditional benefits. Cultural strategies interact with institutional biases, influencing long-term adaptability. The study reconceptualizes PMI as a multi-layer adaptive process, offering theoretical, methodological, empirical, and practical contributions for improving SOE merger outcomes.

10:15
エフェクチュエーション理論における関与者との相互作用が起業家に与える影響分析

ABSTRACT. エフェクチュエーションは2008年にサラス・サラスバシーによって提唱された理論であり,起業家が不確実性の高い状況下で新たな価値創造を行っていくプロセスを理論化したものである.エフェクチュエーションは基本的に5つの原則から成り立っており,起業家はそれらの原則に基づいて意思決定を行っていくと考えられている.本研究では5つの原則のうちの1つである,他者との積極的な交流を行い,相互作用を行っていく「クレイジーキルトの法則」に注目し,事業の関与者が起業家にどのような影響を与えるかを,遺伝的アルゴリズムを用いたシミュレーション分析を行うことで調査していく.

10:30
日本における教員の労働時間削減の要因と効果に対する評価

ABSTRACT. 本研究は、日本の学校における働き方改革施策の効果を検証するため、全国147事例を対象に要因分析と費用便益分析(CBA)を行った。要因分析では、効率化が時間削減に寄与する一方、教育的関わりを弱める可能性が示唆された。CBAでは、小学校の定型業務が最も効果的であり、中学校・高等学校では効果が低下、特別支援学校では「学級担任」が有効であった。さらに、「学級担任」「電話対応制限」などは校種を問わず有効である一方、面談や家庭訪問など非定型業務は効果が限定的であった。以上より、施策は校種や業務特性に応じた戦略的導入が求められる。

10:45
Enhancing Human Resource Quality and Employment in Indonesia Through Education

ABSTRACT. Indonesia, though rich in natural resources, continues to face challenges in workforce readiness due to unequal education access and weak alignment between schooling and regional needs. This study analyzes all 514 cities and regencies to develop region-specific education strategies by clustering socioeconomic data with KMeans and KMedoids. Results indicate that technology-driven cities are better suited for academic education to support adaptability, while less developed areas benefit from vocational pathways offering immediate employment, with mixed regions requiring a balanced approach. To assess delivery modes, GIS and satellite imagery data were applied, comparing KMeans with Deep Embedded Clustering (DEC); KMeans proved more effective given the dataset size and provided more interpretable results. Findings show that online education can expand access in remote regions but remains constrained by digital infrastructure, teacher readiness, and student engagement, whereas offline learning is more viable in urban areas. Overall, the study demonstrates that tailoring school type and delivery mode to regional characteristics is essential for enhancing human resource quality and employment outcomes in Indonesia, offering actionable insights for policymakers to design equitable and context-sensitive strategies.

11:00
ホリデーホテルにおける食品ロス削減ナッジモデルの提案
PRESENTER: 笑里 長岡

ABSTRACT. 本研究は、ホリデーホテルにおける食品ロス削減ナッジモデルを提案し、食品ロス削減におけるナッジの有効性を検証することを目的とする。特に、観光客が滞在するホリデーホテルのビュッフェレストランにおいて、視覚的なメッセージナッジが食品ロス削減行動に与える効果を明らかにする。また、その効果が利用者の属性(年齢、性別、学歴)によってどのように変容するかを分析する。 既存研究では、ホテルビュッフェにおけるメッセージナッジの導入により約14.4%の食品廃棄削減が確認されているが、その有効性は特定の地域・施設に限定されている。本研究では、ホリデーホテルという非日常的かつ快楽的な文脈を重視し、利用者特性との相互作用を考慮した分析を行う。最終的には、レストラン業態ごとの文脈的要因と利用者属性の影響を統合的に検討することで、ナッジによる食品ロス削減施策の効果を理論的かつ実務的に示すことを目指す。

11:15
国家成長の分岐に関する共進化ゲーム理論的考察:国家と企業戦略の相互作用

ABSTRACT. なぜある国は成長し,ある国は「中所得国の罠」に陥るのか.本研究は,この歴史的分岐をミクロ(企業戦略)とマクロ(国家戦略)の共進化として捉える理論モデルを構築する.核心は,国家の「学習能力」が過去の政策に応じて内生的に変化する点にある.シミュレーションを通じ,発展の成否が政策転換の「タイミング」に依存し,そのタイミングが各国の初期条件によって規定されることを理論的に解明する.

09:15-11:30 Session 5B: 研究発表4-B

Room: 1310

Chair:
09:15
How many hectares of paddy should a farmer plant when water is uncertain

ABSTRACT. Rice farming in Sri Lanka’s Dry Zone is highly vulnerable to unpredictable rainfall and growing climate variability. Since paddy is a water-intensive crop, farmers face uncertainty when deciding how much land to cultivate each season. Planting beyond available water increases the risk of crop failure, while planting too little may result in missed opportunities during favorable years. These challenges directly affect household income, food supply, and the long-term sustainability of farming in the region.

This study applies a mathematical framework to support decision-making under water uncertainty. Using historical climate, irrigation, and yield data, three seasonal scenarios were defined: dry, normal, and wet. Probabilities were assigned to each scenario, and an expected value approach was used to estimate outcomes. This method balances potential gains from favorable seasons with risks of loss in dry periods. Linear programming techniques were employed to determine the most suitable cultivation area under each water condition.

Findings show that optimal land allocation depends heavily on seasonal water availability. Cultivating fewer hectares during dry years reduces crop losses, while expanding cultivation in wetter years maximizes returns. The model provides a practical tool to guide farmers, encouraging efficient water use and strengthening resilience to climate variability in the Dry Zone.

09:30
オーバーツーリズム解消のための ABMを用いた混雑状況の効果的提示方法の分析
PRESENTER: 保乃香 出雲

ABSTRACT. 本研究は,オーバーツーリズム解消に向けて,エージェントベースモデル(ABM)を用いた混雑情報提示の効果的手法を分析する.既存のリアルタイム混雑情報提供は,観光客の行動特性や提示方法により効果が限定的である.そこで,情報の時間軸(リアルタイムvs予測)と提示方法(ネガティブvsポジティブ)を組み合わせた4パターンについて,観光客を意思決定主体とするABMを構築し,各手法が行動選択や混雑分散に与える影響をシミュレーションで定量比較する.これにより,観光客の利便性を保持しつつ混雑緩和を実現する最適な情報提示方法を明らかにし,持続可能な観光地運営に資する実践的知見を提供する.

09:45
多重認知ハイパーゲームを用いた最後通牒ゲームにおける提案者の戦略的動機の分析

ABSTRACT. 本研究は,多重認知ハイパーゲーム(HMC)を用い,最後通牒ゲームにおける公平な提案行動を分析する.応答者の合理性に対する提案者の主観確率を,提案内容に依存する関数としてモデル化し,提案者のリスク感度αに分布を仮定したシミュレーションを実施.その結果,実際の実験データをよく再現できた.これは,公平な提案が拒否リスクを回避するための合理的な戦略的動機に基づくことを実証するものである.

10:00
大学教育が人材需給に与える影響の分析

ABSTRACT. 現在の日本においては職業によって人材需給のバランスに大きなばらつきがあり、その要因として教育と労働市場の接続の弱さがある。そこで本研究では人材需給に特徴がある職業と、出身学系と職業の人材需給の関係を明らかにすることを目的とした。その結果、職種によって影響が強い学系に差があることが明らかになった。更には社会科学系がほぼ全ての職業に対して影響があることも確認された。以上の結果より、現状の教育構造でも職業との接続は一定程度行われていること、一方で直接的には関係がない職業に対しても人材を供給している学系があることが示唆された。

10:15
破壊的イノベーションの多様性を生むエコシステム要因の分析

ABSTRACT. 破壊的イノベーションは従来の価値基準では劣っていても、どこか優れた一面を持つ新製品によって新しい価値を提供し、市場を侵食していく技術革新である。イノベーションにおいて、その進行のペースやプロセスには事例ごとに大きな差がある。この多様性の要因としてエコシステムが関係していることは確認されているが、そのプロセスに関しての分析がそれほどされていない。そこで本研究では、破壊的イノベーションが起こった事例において、エコシステムの観点からイノベーションを表現したシミュレーションモデルを作成し、エコシステムにおけるどの要素が代替のスピードに影響を与えるか分析する。

10:30
コンパクトシティ形成に向けた都市縮小プランの検討

ABSTRACT. 日本の自治体では人口減少と市街地拡大により、税収減少とインフラ維持費の増大が財政を逼迫している。そこで立地適正化計画制度を導入しコンパクトシティ形成を進めているが、制度の強制力が弱く十分な効果を上げていない。先行研究では、統一的な区域形成手法や制度を踏まえた施策の提案が不十分であることが明らかとなった。本研究は、自治体の将来に適したコンパクトシティ形成のプランを提示することを目的とする。立地適正化計画制度を導入している自治体を対象に、2050年における基準財政収入額と基準財政需要額を比較し、居住誘導区域を縮小すべき自治体を明らかにした。次に区域の再定義に向けて、現行の区域指定に関わる指標をシステマティックレビューによって明らかにし、その指標と財政制限から居住誘導区域の再定義を行った。

10:45
EVCS配置最適化の仮想空間実験

ABSTRACT. 近年,電気自動車(EV)の販売を促進するためにEV充電ステーション(EVCS)の増設が求められてい る.そのため,EVオーナーの充電需要を考慮したEVCSの配置最適化が必要である.地域ごとのEVCS配置を得るためには,EVオーナーの所在地を用いて最適化を行う必要がある.本研究では,合成人口データと呼ばれる模擬ミクロデータを用いて,EVオーナーの所在地に基づいてEVCS配置最適化を行うための予備的研究として,仮想空間におけるシミュレーティッドアニーリング法によるEVCS配置最適化を行う.

11:00
深層学習を用いた合成人口データにおける住所情報の精度向上

ABSTRACT. 近年,社会シミュレーションのモデル作成等を用途として合成人口データに注目が集まっている.しかし現状として,データ作成の際に町丁目より詳細な世帯配置に関しては,最適化等を用いずに無作為な割り当てが行われているため,居住できない建物に世帯が配置されてしまう等の問題が発生している.そこで本研究では,深層学習を用いた建物の用途判別に関する先行研究をもとに,学習モデル作成時の画像処理方法等で改良を加え ,より精度・汎用性の高い学習モデルの作成を行う.

11:15
スポーツ産業およびスポーツ消費者行動による経済効果の推計

ABSTRACT. 本研究は,スポーツが地域経済に与える効果をマクロとミクロの視点から分析し,自治体のスポーツ政策立案に貢献することが目的である.まず,スポーツ産業の9部門に100万円ずつの需要が増加した場合,経済波及効果は2.28倍の2,048万円と推計され,特に製造業と関連の深い部門で高い効果が見られた.次に,スポーツ消費者の特徴を変数化し,「潜在スポーツ消費者」を市区町村別に推計した結果,最多は世田谷区の13万2,146人となり,15~34歳の人口が結果に強く影響していることが示唆された.今後はこれらの分析を基に,具体的なスポーツ政策の方向性を検討する.

09:15-11:30 Session 5C: 研究発表4-C

Room: 1309

Chair:
09:15
日本型雇用システムが労働生産性に与える影響のモデル分析

ABSTRACT. 日本の労働生産性は他の先進国と比べて低く,OECD のデータではG7 加盟国の中で最下位である.要因は長時間労働,DX の遅れ,モチベーションの低さで,これらはメンバーシップ型雇用に起因する.従来の雇用システムの生産性低迷を受け,ジョブ型雇用への切り替えが進んでいるが,問題も懸念される.関連研究では多くが企業単体に注目しており,市場全体の動きを考慮した研究は少ない.本研究は,労働生産性向上につながる雇用システムを明らかにすることを目的とする.

09:30
人口移動による地方の持続可能性の検討

ABSTRACT. 近年、日本では人口減少と都市部への人口集中が進行している。全国的な自然減に加えて、地方から都市部への社会減が加速し「都市部への一極集中」と「地方の持続困難」が起きている。地方における課題として、国土交通省は生活関連サービスの縮小、地域交通の撤退・縮小、地域コミュニティの機能低下を指摘している。政府は人口減少対策や地方活性化を目的に、「まち・ひと・しごと創生法」をはじめとする地方創生関連法を整備し、各地で様々な施策を展開してきた。しかし、人口移動は単一の要因で説明できるものではなく、様々な要因が複雑に絡み合った意思決定の結果である。したがって、人口が減少している日本において、都市の持続可能性のための移住促進や定住支援策を検討する際には、単なる転入数の増加を評価するだけでなく、どのような価値観や動機を持つ人々が、なぜその地域を選んだのかという視点からの分析が求められる。

09:45
人口・経済・地理的指標を考慮した地方自治体における消滅可能性の検証

ABSTRACT. 日本では人口減少が進み、地方の持続可能性が危ぶまれている。従来は若年女性人口に基づく「消滅可能性自治体」指標が用いられてきたが、財政や産業、施設など多様な要因を十分に捉えていない。本研究では、文献レビューにより存続・衰退要因を整理した上で、全国と北海道の消滅可能性自治体を対象に主成分分析を実施した。その結果、全国と北海道における自治体では異なる成分が確認された。

10:00
災害時要配慮者に対する施策の定量的な効果検証

ABSTRACT. 近年の災害では, 高齢者などの災害時要配慮者の災害関連死が課題となっており, 災害関連死を減少させるための効果的な施策の実施が求められている. そこで, 本研究では災害時の混乱により特に施策の評価が難しい超急性期・急性期に着目して, 災害時要配慮者に対する施策の有効性を検証することを目的とする. まず現状分析として、過去の災害における道路被害と災害関連死の関係をGISを用いて分析した. さらに, エージェントベースシミュレーションを用い, 能登半島地震で導入された1.5次・2次避難所に関する施策の効果を評価した. その結果、道路被害と災害関連死との正の相関関係が確認され, また1.5次・2次避難所の施策の効果は限定的であることが明らかになった.

10:15
人口減少下の都市縮小に向けた逆線引き優先度分析

ABSTRACT. 人口減少・高齢化が進行する地方都市では,都市空洞化やインフラ維持が深刻な課題となっている.市街化区域を縮小する「逆線引き」は有効な施策であるが,法制度の制約に加え,地権者を含む利害関係者の合意形成が不可欠である.本研究では,北九州市を対象に公開統計を用いた定量的手法により,5次メッシュ単位で逆線引き優先度を評価した.人口密度や高齢化率など複数の指標を標準化・均等重み付けした上でKepler.glで可視化し,高リスク地域の抽出を行った.その結果,既存の市街化調整区域と大部分が重なる地域を特定し,提案手法の有効性を示した.

10:30
インターネット広告の多様性と消費者行動に与える影響

ABSTRACT. 近年,インターネットの普及により,インターネット広告は増加傾向にある一方で,広告の過剰配信や多様な情報伝達手法により,広告の効果が十分に発揮されないケースが増加している.先行研究では,分析対象や広告の形式が限定的な研究が多く,広告効果を主要な議論とする体系的かつ包括的な研究は,現在において不十分であると考えられる.本研究の目的は,インターネット広告が消費者行動に及ぼす影響,インフルエンサーや口コミといった他の情報伝達手法と比較した際の費用対効果や消費者に与える影響の差異を明らかにする.その中でも今回は,インターネット広告の効果に関する研究を体系化し,インターネット広告が消費者に及ぼす影響やその効果を構造的に明らかにした.体系的な文献レビューを通じて,影響・効果に関する要因を抽出し,関係性を整理した後,構造化を行った.

10:45
クールノーベルトラン混合複占モデル等の不完備情報ゲームへの拡張

ABSTRACT. 複占市場における各企業の行動とその際の利得を表現するモデルとしては,各企業がクールノー戦略をとるクールノー複占モデル(CCモデル),ベルトラン戦略をとるベルトラン複占モデル(BBモデル)がよく知られている.酒井(1992)は,完備情報下においてクールノー戦略とベルトラン戦略を組み合わせたクールノーベルトラン混合複占モデル(CBモデル),ベルトランクールノー混合複占モデル(BCモデル)を定義した.この研究では,以上4種のモデルを企業の戦略組に応じて組み合わせることにより,不完備情報下における複占市場での各企業の振る舞いを表現することで,企業の意思決定や現状分析の研究の下地となる理論を構築する.

11:00
市民なりきりゲームのための納得感あるペルソナ生成手法の方法論の開発

ABSTRACT. 本研究では,プレイヤーが仮想市民になりきり,1日の行動を選択する「市民なりきりゲーム」に向けたペルソナ生成手法を提案する.ペルソナ生成プロセスにおいてもステークホルダーの納得感を醸成することを目指し,共創,定量+定性の混合,半自動の特性をもつ手法を設計した.本稿では特に新潟県加茂市を対象に行った,MaxDiffによる行動イメージに有用な属性の抽出と,対話型遺伝的アルゴリズムを用いたペルソナスケルトンの生成について記述する.本手法より,納得感に基づいた,再現性・実在感・自由度の三つのペルソナ評価指標を満たしつつ,モデルとゲーミングシミュレーションを接続するペルソナを生成することが本研究の目的である.

11:15
ロールプレイ型ゲーミングシミュレーションにおける ナラティブ型ペルソナの抽象度調整の有効性

ABSTRACT. 複雑化する社会に対して,政策立案の事前評価を行う方法として,SPD基盤技術を用いたデジタル社会実験が注されている.今回の実験で採用する手法はGAMのType3であり,これはエージェントベースモデル(ABM)を基にゲーミングシミュレーション(GS)を設計し,GSを通じてABMの妥当性を検証できる点に特徴がある.本研究は,新潟県加茂市を対象としたSPDプロジェクトで展開される.参加者に市民像を与えて一日の行動を計画させ,その行動シークエンス(一日の行動の流れ)を収集する.市民像を与える際に用いられるナラティブ型ペルソナは役割理解を支援するが,記述内容が抽象的すぎれば市民像を想像できず,詳細すぎれば行動が制約されるという課題がある.また,行動を想像する上で重要とされる行動傾向,行動環境,意思決定基準の三要素についての抽象度をどう設定すべきかが未検討である.そこで本研究は,これらの三要素に対して,複数の抽象度条件を与えたペルソナを提示し,得られた行動シーケンスを比較分析することで,抽象度調整の有効性を明らかにする.