SOCSYS027: THE 27TH SYMPOSIUM OF TECHNICAL COMMITTEE ON SOCIAL SYSTEMS
PROGRAM FOR MONDAY, MARCH 7TH
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09:00-16:00 【オンライン展示(3/7,8終日)】 株式会社 NTTデータ数理システム

展示担当:株式会社 NTTデータ数理システム 営業部 嶋田 佳明

展示内容:NTTデータ数理システムの製品(シミュレーション、数理最適化、ベイジアンネットワーク、テキストマイニング、データマイニング)に関する、お問い合わせ、ご相談、ご要望を承っております。展示担当が、時間内にoViceに常時待機しております。お気軽にお声がけください。

09:30-10:30 Session 3A: ミドル発表(2a)
Chair:
09:30
美容室推薦システムのレビュー抽出方法の検討
PRESENTER: みゆき 宗野

ABSTRACT. 膨大な数のレビューデータから価値のあるレビューを抽出する方法として,本研究では出現率5%以上の名詞である特徴語と,特徴語と極性辞書に掲載された評価表現語が係り受け関係にある文を含むレビューを抽出した.被験者による妥当性の検証結果から,特徴語が含まれているレビュー文は含まれていないレビューよりも理解度が高いという結果を得た.しかし,特徴語と評価表現語が係り受け関係にある文を含むレビューについては評価値の予測や参考になったレビューの順位付けから特徴語のみを含むレビューよりも優位性があることが確認できなかった.今後の課題は美容室のレビューデータに合わせた辞書の作成,特徴語の種類を増やすことである.さらにカテゴリ分類の再検討やレビュー抽出条件の見直し,教師あり学習による新たなレビュー抽出方法などを検討し,美容室推薦システム構築におけるもっとも適切なレビューの抽出方法を開発していく.

09:50
知識分布の違いとファシリテーターのフォーカス介入が議論の活発度に与える影響の分析
PRESENTER: 純 入江

ABSTRACT. まちづくりワークショップに代表される話し合い場面では,関係者の対等性の確保が必要であるとされるが,実際には参加者の背景知識の違いにより暗黙的な力関係が生じてしまう.ファシリテーターは参加者の関係性を調整し,議論の舵取りを行うが,背景知識の違いや議論が一部に集中している時に“いつのタイミングで,どの意見に対して”話題転換すべきかわからない.本研究ではこの課題に対して話し合いモデルをABMにより構築し,活発な議論の形成に必要な参加者の背景知識の特性,話題転換の仕方についての示唆を得る.

10:10
ユーザー起動戦略を用いたユーザーイノベーションの分析
PRESENTER: 耕介 江口

ABSTRACT. 近年,製品の使い手であるユーザーが製品開発に携わり,イノベーションを起こすことが知られ,それにより開発された製品は高い販売効果を持つことが知られている.これがユーザーイノベーションである.このユーザーイノベーションを企業の開発戦略として組み込むこと動きがあり,ユーザーイノベーションを起こす主体であるリードユーザーのアイデアを模倣するLU法が知られている.さらに,近年のネットワークの発展により,アイデアの投稿・投票によりリードユーザーだけでなく,一般消費者を巻き込み開発を行うUD法の事例も増えている.本研究では,ユーザーイノベーションの中のUD法に焦点を当て,従来手法であるLU法の販売効果の影響についてシミュレーション実験により分析する.

09:30-10:30 Session 3B: ミドル発表(2b)
09:30
大学進学および大学卒業後の就職における人口移動モデルの構築
PRESENTER: 和希 中村

ABSTRACT. 複雑系である社会システムにおいて施策の影響を想定するためには,社会システムの振る舞いを表現する 必要があり,人口動態が欠かすことのできない情報となっている.しかし,社会課題解決に向けた大規模な転換 シナリオの表現や地域間の相互作用を考慮できる人口予測環境は,まだ整っていない.そこで本研究は,社会シミュレーション構築の扶助を目的として,地域別将来人口の動的予測への影響が大きいライフイベントにおける,個体ベースの人口移動モデルを構築する.

09:50
合成人口データを活用した就業者の通勤手段・通勤経路・通勤所要時間の推定
PRESENTER: 慎太郎 北下

ABSTRACT. 本研究では,合成人口データの就業者を対象に,個々人が通勤に用いる交通手段と所要時間,鉄道を用いる場合に利用する経路を推定する手法を提案する.合成人口とは統計を基に家族構成とその構成員の属性を合成した個票データである.先行研究で木全らは,鉄道での経路を探索するために,Dijkstra法を用い,鉄道の時速を一律40kmとして所要時間を推定する手法を提案している.本研究では,常住地・従業地それぞれに利用候補駅を設定し,候補駅間で経路探索APIを用いて経路・所要時間を推定することで,移動経路をより正確に表現する推定方法を提案する.

10:10
エージェントベースモデルを用いたHPV感染シミュレーションとワクチン接種のシナリオ分析
PRESENTER: 純也 塚本

ABSTRACT. 日本では子宮頸がんによる罹患・死亡者数は年々増加している.そこで,本研究では,HPV 感染プロセスモデルを構築し,シミュレーションにより感染者数の推移を可視化する.さらに,ワクチン接種政策とその強度をモデル上で再現することで,政策効果と HPV 根絶に至るシナリオを分析する.行動モデルについては,人の年齢や,性交渉などの意思決定を考慮できるエージェントベースモデルのアプローチを用いて設計した.

10:50-11:50 Session 4A: ミドル発表(3a)
10:50
地域雇用創出政策が東京一極集中にもたらす影響分析
PRESENTER: 汰知 柏村

ABSTRACT. 東京圏への人口一極集中状態が続いている.「就業」が地域間移動の大きな要因だと考えられているが,政府は地方の雇用を創出する政策を行っており,地方圏における有効求人倍率も上昇傾向にあるが,東京一極集中の是正には至っていないことが問題となっている.本研究では,就業者の地域間移動を表現したシミュレーションモデルを用いて,地域雇用創出政策のシナリオ分析を行う.雇用創出政策が人口移動に与える影響を実験的に明らかにし,東京一極集中是正政策のための指標を示す.

11:10
通勤距離を加味した居住地選択モデルの構築 ~北海道札幌市の仮想個票を事例に~
PRESENTER: 奎祐 太田

ABSTRACT. 我が国では人口減少が進み,人口推定の研究が行われている中,立地選択モデルを組み込んだマイクロシミュレーションを用い,将来人口予測を行われているが,居住地選択において重要とされている通勤距離を加味したモデルはない.そこで本研究では通勤距離を考慮したモデルを構築する.世帯属性から世帯が求める地域属性を推定し,それを元に居住地選択を行う手法を開発.北海道札幌市の仮想個票データを事例に居住地選択の予測を行った.予測結果は地域属性パラメータ精度の問題で,居住地選択では5000-8000m程度の大きな誤差を生じる結果となった.しかし実績値を用いた居住地選択では精度の高い予測ができ,提案手法の有効性が示唆された.

11:30
合成人口データを用いた新型コロナウイルスに対する 感染分析及び経済的影響の分析
PRESENTER: 稜 下田

ABSTRACT. 本研究では、新型コロナウイルスにおける感染分析及び経済的な影響を、合成人口データを用いて分析することを目的としたシミュレーションモデルを構築した.数理ベースシミュレーションモデルの大きな問題の1つである抽象度が高いという点を、実際の統計データをもとに作成された合成人口データを活用することにより、現実的な街や人口を想定した感染シミュレーションがおこなうことができた。

10:50-11:50 Session 4B: ミドル発表(3b)
10:50
AED使用率向上のための社会シミュレーション分析による直線距離と道路距離の比較
PRESENTER: 雄一 江尻

ABSTRACT. 2020年の心停止傷病者79,376人のうち,一般市民によってAED使用された傷病者数は1,092人であり,AEDの活用が十分に行われているとは言い難い.そこで先行研究は,住宅内心停止を前提に,実社会におけるAEDにまつわる取り組みや技術の活用を踏まえて,社会シミュレーション分析を用いてそれらがAED利活用促進につながることを示した.しかし,モデルやベースシナリオのパラメータ設定には課題が存在した.特に,AEDまでの距離を直線距離で算出している点は,実際の運搬を考慮できていない.そこで本研究では,先行研究に改善を加えたうえで,相模原市を対象にAEDの運搬が試みられる確率が向上した場合及び対象地域内にAEDの追加設置を行った場合の効果の可視化と直線距離と道路距離での乖離の可視化を試みた.

11:10
Stage-Oriented Agent Role Simulator Toolkitと1億人規模COVID-19シミュレーションによる実行性能評価
PRESENTER: 功 小野

ABSTRACT. 本稿では,著者らが開発中のStage-Oriented Agent Role Simulator Toolkit (SOARS Toolkit) を紹介する.SOARS ToolkitはエージェントベースシミュレーションのためのJavaクラスライブラリであり,最新版ではロールのモジュール化を支援する機能と並列実行を支援する機能を提供する.SOARS Toolkitを用いてCOVID-19感染シミュレーションを並列実装した上で,首都圏規模を想定した3,000万人/1,415万スポットおよび全日本規模を想定した1億人/4,717万スポット,30分ティック,180日間の設定で実行性能を評価する実験を行った.その結果,56CPUコアを用いて,3,000万人/1,415万スポットのシミュレーションが約6.44時間,1億人/4,717万スポットのシミュレーションが約25.6時間で終わることを確認した.

11:30
つくば市の手指消毒事例を用いた同調性バイアスを考慮したナッジモデルの提案
PRESENTER: イブン 陸

ABSTRACT. 世界中に新型コロナウイルスの感染を防止するための有効な施策の一つとして、手指消毒があげられる。しかし、人々は情報を見落としたりバイアスに左右され判断を下したり、消毒行動を省略し、合理的な行動を取らない場合もある。このような問題状況において、セイラー教授らが提唱したナッジと呼ばれる人々の意思決定に影響を与えて行動変容を促す行動概念が有効だと考えられる。本研究は人々の心理的バイアスがナッジの効果に与える影響を明確にし、今後のナッジ政策について実証研究を行う際に実験計画のデザインを支援するためのABMを提案する。

13:00-14:00 Session 6: 招待講演

講演者:畑山満則(京都大学 防災研究所)

演題:「危機管理における時空間情報管理、並行世界情報管理技術の開発」

司会:喜多一(京都大学,社会システム部会 主査)

14:05-14:15 Session 7: 汎用シミュレーションシステムS4 Simulation System Ver6.2 新機能のご紹介

株式会社 NTTデータ数理システム 営業部 嶋田 佳明

株式会社NTTデータ数理システムでは、シミュレーション、数理最適化、ベイジアンネットワーク、テキストマイニング、データマイニングのパッケージ製品の開発・販売を行っております。その中から2022年3月末リリース予定の、汎用シミュレーションパッケージS4 Simulation System Ver6.2の新機能紹介をさせていただきます。

14:15-16:00 Session 8: ロング発表
14:15
多目的最適化社会シミュレーションにおける解集合に基づく状況分類手法の検討
PRESENTER: 裕介 後藤

ABSTRACT. 多目的最適化社会シミュレーションにおいて入力する状況間の類似度を明らかにすることは,例えば自治体の政策立案過程で類似している自治体を把握することの有効な支援となる.本研究では,社会シミュレーションの入力となる状況を得られた解集合に基づいて分類する手法を提案する.本手法は施策の期待効果に基づいて状況の類似性を評価することを可能にするとともに,状況や施策の効果に関する理解を深めることを可能にすると考えられる.

14:40
合成人口データにおける常住地人口規模を考慮した就業者への従業地の割当て
PRESENTER: 岩瀬 大樹

ABSTRACT. 実社会を対象にした分析や社会シミュレーションにおいて,個人の行動の軌跡を推定できる汎用的に利用可能なデータを整備することで,日常生活の中で発生する社会現象モデルの構築が容易になる.国勢調査の常住人口に基づいて合成された仮想個票である合成人口データには,現状,個人の移動を規定するような地理情報は含まれていない.そこで本研究では,静的な合成人口データを動的なデータにするための端緒を開くことを目的に,公開されている公的統計データを用いて合成人口データの個々の就業者に従業地を割り当てる手法を提案する.

15:05
日本全国の市区町村を対象としたAED設置情報の公開状況に関する分析
PRESENTER: 祐哉 八木

ABSTRACT. 近年,AEDに関する研究や分析などAED利活用促進に向けた取り組みが多く行われており,その際に活用されるAED設置情報の重要性が増している.本研究では日本全国の市区町村を対象にAED設置情報の公開状況の調査,AED設置情報のファイル形式に関する分析,AED設置情報のデータ項目に関する分析,地理情報分析を行う際に発生する問題点の考察を行い,AED設置情報の現状を明らかにする.

15:30
交換代数を用いた実物複式状態に基づくシステム記述とその利活用
PRESENTER: 弘 出口

ABSTRACT. 本稿では、従来簿記で用いられていた複式の状態記述を一般化した代数的実物簿記により、主体の活動時点(Point of Event)での状態変化を実物単位での複式状態記述により把握し、それを必要とされるマネジメント範囲で集約することで、工場の生産現場などの組織内部から、組織単位、サプライチェーンや組織間連携単位、さらに国のレベルでの様々なマネジメントに利活用するための複式状態によるシステム記述とその情報処理の基本アーキテクチャについて論じる。