SOCSYS026: THE 26TH SYMPOSIUM OF TECHNICAL COMMITTEE ON SOCIAL SYSTEMS
PROGRAM FOR SATURDAY, AUGUST 28TH

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10:00-12:15 Session 1A: 構想発表1A
Chair:
裕介 後藤 (芝浦工業大学, Japan)
Location: A会場
10:00
千里 荒井 (芝浦工業大学, Japan)
学 市川 (芝浦工業大学, Japan)
ポストコロナ社会での公共交通機関の維持と方法の検討
PRESENTER: 千里 荒井

ABSTRACT. COVID-19の流行により,感染拡大を抑制するための外出自粛が広がった.その結果,全国の公共交通機関で利用者が減少し,一部の機関では廃線や撤退が進められている. 公共交通機関サービスを縮小させる場合,その地域の人々及び産業全体との関わり,つまり公共性や社会に与える影響を十分に検討する必要がある.また,これまでの研究ではCOVID-19により変化した社会を想定した研究は行われていない.そこで,本研究ではエージェントベースシミュレーションを行い. ポストコロナ社会での公共交通機関が周囲に与える影響を可視化し、有効な交通機関運営方法を明らかにする.

10:15
優人 宮垣 (静岡大学, Japan)
Hao Lee (Shizuoka University, Japan)
浜松市の食料品アクセス問題における食料品店立地の最適化
PRESENTER: 優人 宮垣

ABSTRACT. 近年,高齢者を中心に「買い物難民」が増加している.買い物難民が発生する原因は地域の過疎化や大型スーパーの進出などにより周辺の中小食料品店が衰退していくことである.さらに衰退が進行すると,大きな社会問題として挙げられるフードデザートと呼ばれる問題に発展する.先行研究ではドラッグストアやその他食料品店の新規立地に関する研究があるが,本研究では浜松市のスーパーマーケット,コンビニエンスストア,ドラッグストアの浜松市における食料品店の立地最適化の分析を行う.

10:30
和希 栗原 (芝浦工業大学, Japan)
学 市川 (芝浦工業大学, Japan)
国民健康保険データの利用可能性について
PRESENTER: 和希 栗原

ABSTRACT. 今日著しく進行する高齢化によって,国民医療費は年々増加しつつある.こうした中,全国の自治体において,科学的根拠に基づいた医療対策によって,効率的かつ効果的な事業の実施が求められている.それに伴い,国保データベース(以下,KDB) が運用されるようになり,多くの市町村で,多様な観点からの分析が容易にできる環境が整備されてきている.しかし,現状として,それらのデータを用いて,事業計画を策定している自治体は多く見られない.そこで,医療計画に用いられるオープンデータによるデータ分析の限界とKDBデータを活用することで得られる知見を比較し、KDBデータの利用可能性について明らかにすることを目的とする.

10:45
柊平 廣沢 (芝浦工業大学, Japan)
裕介 後藤 (芝浦工業大学, Japan)
出荷データと環境データを用いた製パンの潜在売上予測方法の開発
PRESENTER: 柊平 廣沢

ABSTRACT. 本研究では,工場出荷データと環境データを用いて,店舗の未取扱商品についての潜在的な売行を予測する研究を行う.製パン業者と小売店舗の両者にとって,対象店舗における未取扱商品の潜在売行予測を適切に行うことは,重要な課題である.先行研究では,扱う製パン工場出荷データは高次元で疎なデータであるため,計算時間が問題になりにくいNetwork Embedding手法であるLINE を用いて類似店舗の導出を行い,潜在的な売行の予測を行う手法を検討したが製パン業者にとって実用的な精度を実現するには至らなかった.そこで,本研究では製パンの売上に関係していると思われる天候や曜日などの環境データを予測に用いることで予測の精度を改善することを目指す.

11:00
直紀 嶋 (芝浦工業大学, Japan)
学 市川 (芝浦工業大学, Japan)
ABSSを用いた社会保障制度の効率性と公平性の評価
PRESENTER: 直紀 嶋

ABSTRACT. 少子高齢化が進む中で,生活安定のための支援の充実化や制度設計,および社会保障制度の財政的な持続可能性の確保が目下の政策課題である.社会・経済の変化は国民の置かれる状況,個人のライフスタイルを多様化させた.この変化に適応する社会保障制度の設計には,多様な世帯を想定した定量的な分析が必要である.そこで,本研究ではエージェントベースのアプローチで国内の多様な世帯を再現した仮想日本シミュレーションを用いて,社会保障政策の分野において制度が個人に与える影響の検討を行うことを目的とする.

11:15
美知 根岸 (静岡大学, Japan)
皓 李 (静岡大学, Japan)
労働市場の変化による所得推定に基づくマイクロシミュレーションー既存の社会保障制度とベーシックインカム制度の比較ー
PRESENTER: 美知 根岸

ABSTRACT. 従来の社会保障制度に代わる政策として,政府が全国民に対して最低限の生活を送るのに必要な額の現金給付を無条件に行う政策であるベーシックインカムが期待されている.本研究は,マイクロシミュレーションモデルを用いてベーシックインカムが貧困問題の解消に有効であるか考察する.これまでの研究では,浜松市中区を対象とし,一年のみのシミュレーションを行った.本研究では,地域を広げ,労働市場や人口の変化に応じたシミュレーションサイクルを用いることにより,ベーシックインカムが人々の所得に与える長期的な影響を考察する.

11:30
純也 塚本 (芝浦工業大学, Japan)
学 市川 (芝浦工業大学, Japan)
AIの発展による大学学科の盛衰分析
PRESENTER: 純也 塚本

ABSTRACT. 生産年齢人口の減少による働き手不足や,Society5.0を目指す社会の風潮から,AIの発展が加速している.加えて,将来なくなる可能性がある仕事についての分析が進められており,近いうちに社会の構造が変化する可能性がある.そこで本研究では,日本を対象とし,社会にAI等の技術が浸透することによって,産業を中心とした社会構造がどのように変化するかを分析する.本稿では産業と密接な関係にある大学に焦点を当て,学科がどのように盛衰するか,分析の理論を述べる.不要な学科が判明した場合,入学者の行動も変化する可能性がある.人々の進学先選択が把握できれば,大学の生き残り戦略に活用することが期待できる.

11:45
樹 小田 (早稲田大学, Japan)
真吾 高橋 (早稲田大学, Japan)
企業が興すイノベーションの速度差が及ぼす影響の社会シミュレーション分析
PRESENTER: 樹 小田

ABSTRACT. 本研究構想では顧客に対して価値をもたらす技術開発、およびその技術に基づく商品の開発の速度である「イノベーションの速度」を説明しうるモデルの構築を目指す。これに関して、「イノベーションの速度差」の影響を、企業と消費者が各々学習や相互作用を起こしながら推移する購買活動の場で説明することができるモデルの構築を目指す。このモデルを用いて、ピンボールマシンの事例を初めとしたイノベーションの速度差の影響を受けた事例の再現および再現された事例において考えうる戦略の効果の可能性の分析を行う。

12:00
奎祐 太田 (静岡大学大学院, Japan)
皓 李 (静岡大学, Taiwan)
通勤距離を加味した居住地選択モデルの構築 ~北海道札幌市の仮想個票を事例に~
PRESENTER: 奎祐 太田

ABSTRACT. 我が国では人口減少が進み,それに対応した政策検討に用いる為,人口推定の研究が各分野で行われている.その中でもマイクロシミュレーションを使い将来予測を行った研究もあり,海外の研究ではそのマイクロシミュレーションに居住地選択モデルを組み込んだ研究もある.既存のモデルでは収入や年齢といった個人の属性や地価などの地域属性が変数として入っている.そこで本研究では北海道札幌市の仮想個票データを事例に通勤距離を加味した居住地選択モデルを提案する.

10:00-12:00 Session 1B: 構想発表1B
Chair:
拓弥 原田 (青山学院大学, Japan)
Location: B会場
10:00
祐哉 八木 (青山学院大学, Japan)
雄一 江尻 (青山学院大学, Japan)
拓弥 原田 (青山学院大学, Japan)
紀知 大内 (青山学院大学, Japan)
全国規模AED設置状況の分析に向けたオープンデータの公開状況の調査
PRESENTER: 祐哉 八木

ABSTRACT. 日本は国内に推定約60万台のAEDが設置されているAED大国である.一方で,市区町村単位の場合は十分な数のAEDが設置されていない自治体もあり,設置数が少ない地域は心停止の発生場所と設置場所にミスマッチが起こりうる.本研究では,AED設置状況の分析に向け,AEDオープンデータを取得し,都道府県別のAEDオープンデータの公開状況について報告する.

10:15
海斗 関 (Shibaura Institute of Technology, Japan)
学 市川 (Shibaura Institute of Technology, Japan)
地方自治体の業務継続計画最適化シミュレーション
PRESENTER: 海斗 関

ABSTRACT. 過去の災害において, 災害の全体像への理解不足, 地方自治体に対する非効率な応援受援などが発生している. 本来ならば, これらの人員配置や応援人員の受け入れにおける課題を解決するための計画として, 地方自治体のBCP(業務継続計画)や受援計画が挙げられる. しかし, 多くのBCPは定性的な検討に留まり, 「どの業務に,いつ頃, 何人の職員を配置するか」という定量的な検討は少ない. そこで本研究では, 被害量から必要人員投入量を定式化する. 加えて, 人員配置シミュレーションを行い災害対応時の最適な人員配置を明らかにし業務継続計画最適化手法の構築を行う.

10:30
歩夢 市川 (早稲田大学, Japan)
真吾 高橋 (早稲田大学, Japan)
ラフ集合と形式概念分析による概念構造の可視化分析
PRESENTER: 歩夢 市川

ABSTRACT. ラフ集合による分析は、質的なデータを扱うことができ、決定ルールから求めたい結論に対して属性間の関係性や規則性を簡潔に表現することができる。しかし欠点として、決定ルール間の概念構造が把握しづらく、ある決定ルールに含まれる属性とそれ以外の属性との関係を認識することができない。一方形式概念分析は,概念間の半順序関係を束構造としてハッセ図上に視覚化できるため,二つの分析手法を組み合わせることで,決定ルールとは遠い属性との関係性を視覚化することを目的とする.本研究では実際に,商品に対してのイメージや属性,個人の嗜好などの情報に実際にラフ集合と形式概念分析を組み合わせた分析を行う.

10:45
汰知 柏村 (芝浦工業大学, Japan)
学 市川 (芝浦工業大学, Japan)
東京圏への人口一極集中の原因分析
PRESENTER: 汰知 柏村

ABSTRACT. 日本では,東京圏への人口一極集中状態が続いている.東京圏の人口は過度集中とみなされ,過密化や災害リスクの増加といった問題を引き起こしており,政府は是正のための政策を行っているが効果の実態は見られていない.本研究では,先行研究によって示唆された要因や,「住民基本台帳人口移動報告」を用いて,東京圏への人口一極集中の要因とメカニズムを明らかにする.その後,人口一極集中の要因間の関係とメカニズム表現したモデルを構築することによって,シミュレーションを用いた効果的な一極集中是正のための政策を検討し,EBPM(Evidence-based Policy Making 証拠に基づく政策立案)を可能にすることを目指す.

11:00
零 小坪 (芝浦工業大学, Japan)
裕介 後藤 (芝浦工業大学, Japan)
顧客の値下げ感度を考慮した購買履歴と回遊情報を使った店舗回遊モデルの開発
PRESENTER: 零 小坪

ABSTRACT. 購買履歴,回遊情報を用いた小売店の店舗回遊モデルの開発によって商品の配置やプロモーションによる売上を予測可能になり,小売業者の意思決定をサポートすることに用いられている.ある先行研究で売上や回遊の情報を基にしたモデルを開発した研究がある.しかしプロモーションによる影響がすべての顧客に対して一律に受けるように設定されている.別の先行研究で小売店を利用する顧客は回遊の仕方や購買目行動によって店内プロモーションへの感度が異なることが実証的に明らかにされている. そこで本研究では,先行研究の店舗回遊モデルを参考に,代表的な店内プロモーションである商品値下げを対象とし,購買履歴と回遊情報から値下げ感度を推定した店舗回遊モデルを開発し,店内プロモーション効果の分析を行う.

11:15
孝義 武藤 (芝浦工業大学, Japan)
学 市川 (芝浦工業大学, Japan)
ポスト・コロナ社会におけるサステナブル・ツーリズムの評価
PRESENTER: 孝義 武藤

ABSTRACT. 近年,新型コロナウイルス感染症の影響により,国の重要な成長戦略の柱に据えられている観光産業に深刻な影響が出ている.コロナ禍によって,日本各地の観光資源の魅力が失われたわけではないため,産業社会の立て直しには,ポスト・コロナ社会における中長期的スパンの観光戦略策定が重要である.本研究では,持続可能な観光という観点からシミュレーションを用いた観光産業を持続させる施策の提案・検証を行うことを目的とし,観光客や事業運営主体の可処分時間や可処分所得による回遊行動の変化や混雑による入場規制のような,個々の意思決定を確率に基づいて動的に表現することができるエージェント・ベースのアプローチを用いる.

11:30
みゆき 宗野 (静岡大学, Japan)
Hao Lee (Shizuoka University, Japan)
美容院推薦システムのレビュー抽出手法
PRESENTER: みゆき 宗野

ABSTRACT. ネットショッピングや宿泊予約サイトでのサービス利用の予約において,利用者の嗜好を踏まえて意思決定を助けてくれる推薦システムは有用性が高いとされている.しかし従来の推薦システムは利用者に根拠が明示されていないため,信憑性に欠けており第三者による実体験のレビューを閲覧して最終決定をおこなう人も多い.そこで今回は自分の容姿に関わる「美容院」の予約サイトにおいて、実際に美容院に足を運んだ第三者ユーザーによるレビューを併せて推薦するシステムを構築するために,利用者にとって価値が高いレビューの抽出手法を検討する.

11:45
佑太 山崎 (芝浦工業大学, Japan)
学 市川 (芝浦工業大学, Japan)
数理科目の教育価値向上を目的とした教材開発
PRESENTER: 佑太 山崎

ABSTRACT. 近年の日本における教育指導要綱の改訂は,共通して生徒の科目に対する関心の低さをどう補うかを検討していることに起因する.その中でも数理科目に対する関心の低さは,国際平均と比較したところ,大幅に低いことが調査によって明らかになっている.本研究では,関心の低さが将来の意識につながっていないことを課題ととらえ,体験学習によって関心を向上させながら社会に触れることができる教材開発を行う.

13:00-14:45 Session 2A: 構想発表2A
Chair:
学 市川 (芝浦工業大学, Japan)
Location: A会場
13:00
咲希 灘岡 (芝浦工業大学, Japan)
学 市川 (芝浦工業大学, Japan)
医療費の適正化に向けた シミュレーションによる施策の評価
PRESENTER: 咲希 灘岡

ABSTRACT. 日本の国民医療費が年々増加している.現在,国民医療費の約40%が公費負担となっており,今後少子高齢化が進む日本で,国の財政を支えるためにも,医療費を抑制する必要がある.政策の一つとして,予防・健康づくりについての施策の検討がされているが,施策が医療費の適正化に繋がるかどうかの定量的な研究は行われておらず,医療費の適正化に向けた健康予防施策の有効性は示されていない.そこで本研究では,疾患に至るまでのフローを示し,国民の健康状態モデルを構築する.長期的シミュレーションを用いて予防施策の検証を行うことで,施策の効果の算出と評価を行う.

13:15
奏音 中澤 (静岡大学, Japan)
皓 李 (静岡大学, Japan)
エージェントベースシミュレーションを用いたモバイルゲーム市場におけるネットワーク効果の分析
PRESENTER: 奏音 中澤

ABSTRACT. モバイルゲーム市場発展の要因としてネットワーク効果の活用が挙げられており,様々な関連研究が行われてきた.ここで,消費者の具体的な購買行動を考慮した分析を行うことで,ネットワーク効果が購買行動に及ぼす影響の調査が可能になると思われる.本稿では,消費者の購買行動プロセスを表す代表的モデルであるAIDASを応用することで,モバイルゲーム特有の消費者行動を考慮したモデルを構築し,エージェントベースシミュレーションを用いた分析を行う.

13:30
一真 木村 (芝浦工業大学, Japan)
学 市川 (芝浦工業大学, Japan)
ベーシックインカム導入にあたっての 最適な施策シナリオの検討
PRESENTER: 一真 木村

ABSTRACT. 日本の社会保障は,1960年代の高度経済成長期で形成された日本型雇用システムに沿って作られた.しかし,近年の社会情勢の変化により、正規・非正規雇用者の格差などの課題を抱えている.この課題の解決にベーシックインカムが期待されている.ベーシックインカムは社会保障の課題解決の他に景気対策など期待される効果があるが,一方でフリーライダー問題や財源確保の問題などの懸念点が存在する.そのため,現状ベーシックインカムを社会全体に導入した事例は存在していないのが現状である.本研究では,ベーシックインカムをBI導入による国民の生活と経済への影響を分析して、日本での導入における施策シナリオの検討を行う.

13:45
聡乃 中村 (芝浦工業大学, Japan)
裕介 後藤 (芝浦工業大学, Japan)
規範形成に関するシミュレーションのミクロレベル分析方法の開発
PRESENTER: 聡乃 中村

ABSTRACT. 社会に存在する様々な規範は,人々の行動を理解・説明する上で重要である. 規範形成の例として,エスカレーターの片側空け,両側立ちの事例がある.日本ではエスカレーターの左右どちらを空けるかが地域で異なっているが,この様な因果関係が不明瞭な規範の成立の詳しい原因は分析されていない. 先行研究では,シミュレーションのログを分解し,性質ごとに比較,分類する手法があるが,相関性が複雑な現象については同様の結果が得られるかは不明である. 本研究では,ある現象が発生する原因について,ミクロな観点からの分析を行う.どの段階で規範の形成が行われるのか,ルールがどこまで適用されるのかを明確にできる分析方法を開発する.

14:00
Ko Tojo (芝浦工業大学, Japan)
Manabu Ichikawa (芝浦工業大学, Japan)
避難者の災害経験や帰宅困難者対策に基づく帰宅困難者推計
PRESENTER: Ko Tojo

ABSTRACT. 東日本大震災発生時, 広範囲で帰宅困難者による混雑が発生し, 救急車両の通行が阻害されるなどの混乱が引き起こされた. 帰宅困難者対策として従業員や生徒・児童がむやみに帰宅することの抑制, 留まらせるような努力義務, 一時滞在施設の確保等が進められてきたが, 実際に被災者が帰宅するか否かは別問題である. 帰宅行動を起こす判断基準として, 自宅までの距離や同居者の安否, 年齢, 過去の帰宅困難者経験, 防災意識, 所属する企業に引き留められるか, 努力義務に従うかなど様々な要因が考えられる. 本研究では被災者のこれらの要因に基づく定量的な影響を考慮した帰宅困難者の帰宅行動モデルを構築し, 帰宅困難者施策の検討をする.

14:15
岳 清水 (神戸大学, Japan)
俊也 貝原 (神戸大学, Japan)
信忠 藤井 (神戸大学, Japan)
大介 國領 (神戸大学, Japan)
社会シミュレーションのためのマルチスケール統合モデリング手法
PRESENTER: 岳 清水

ABSTRACT. 社会システムシミュレーションには,相互依存性を有する複数のサブシステムに対するSoSの概念に基づいたモデリング手法が求められている.そして我々は,それぞれの要素をその時空間レベルに適したモデリング技術を用いて統合するマルチスケールモデリング手法の取り組みを進めている.本稿では,本手法の構想について紹介するとともに,社会システムを構成する様々なレベルの意思決定主体の分析や,それに基づいたシステムモデリングに関する取り組みの現状について説明する.

14:30
和希 中村 (芝浦工業大学大学院, Japan)
学 市川 (芝浦工業大学, Japan)
エージェントベースシミュレーションによる地域別将来人口の予測
PRESENTER: 和希 中村

ABSTRACT. 技術進化や社会問題を背景に転換が求められる現代社会において,過去の趨勢に従わない非線形的な人口動態を表現する研究が,施策の影響をシミュレーションするために発展してきている.しかし,全国規模での人口移動を考慮した地域別将来人口を予測する環境はまだ整備されていない.本研究は,社会シミュレーションモデルにおいて,地域別将来人口を動的に予測することで,モデル構築者が汎用的に利用できる人口予測モデルをエージェントベースモデルによって構築する.

13:00-14:45 Session 2B: 構想発表2B
Chair:
皓 李 (静岡大学, Japan)
Location: B会場
13:00
蒼人 中野 (静岡大学, Japan)
皓 李 (静岡大学, Japan)
MASを用いたスケジュール最適化によるコロナウィルス対策
PRESENTER: 蒼人 中野

ABSTRACT. 近頃では新型コロナウイルスの蔓延に伴い、様々な対策が行われている。中でも人の集まる商業施設や娯楽施設では、入場制限や営業時間の短縮等の対策を試みているが、密集や密接を十分に回避できない場合があると考える。そこで客の行動スケジュールやルーティングの最適化による混雑緩和の手法を適用したコロナ対策を提案し、マルチエージェントシミュレーションにより効果を検証する。

13:15
楓 藤田 (芝浦工業大学, Japan)
学 市川 (芝浦工業大学, Japan)
地域包括ケアシステムの開発と評価
PRESENTER: 楓 藤田

ABSTRACT. 現在,地域包括ケアシステムの整備が急がれている.医療,介護,介護予防,住まい及び自立した生活の支援が包括的に確保され,ケアが必要な人に必要なサービスを提供する機能分化と,制度の狭間に置かれ支援の届かない人への対応を可能にする連携が重要である.そこで,本研究ではエージェントベースモデリングを用いて体系的な地域包括ケアシステムを再現し,政策オプションが,地域全体に与える影響についての分析を目的とする.

13:30
良太郎 笹治 (早稲田大学, Japan)
真吾 高橋 (早稲田大学, Japan)
Agent-Based Modeling を用いたスイッチング・バリアの分析
PRESENTER: 良太郎 笹治

ABSTRACT. 近年,企業の顧客維持戦略として「顧客満足度」の上昇だけでなく「スイッチング・バリア(SB)」の形成が重要な要因として注目を集めている.SBとは,現在利用している商品・サービスから別の商品・サービスにスイッチする際に「顧客側が感じるリスク」とされている.しかし各産業によって,顧客がどのようなリスクを感じるかは異なり,またそれらのリスクがどのように形成されるかについては統一的な見解はいまだ得られていない.多くの先行研究では消費者アンケートをもとに実証分析を行いSBの測定や,SBに影響している要因の抽出を行っている.本研究では,先行研究から得られた知見をもとにAgent-Based Modelingを用いて,企業と消費者の相互作用の中でSBが形成されていくモデルを構築し,SBが市場ダイナミクスに与える影響を分析する.

13:45
陽 佐藤 (芝浦工業大学, Japan)
学 市川 (芝浦工業大学, Japan)
コンパクトシティ政策導入による都市の持続可能性
PRESENTER: 陽 佐藤

ABSTRACT. 少子高齢化や人口減少などの社会問題が急速に進んだことで,地方都市において中心市街地の衰退や都市のスポンジ化などの問題が発生している.その対策として行政がコンパクトシティ政策への転換を進めているが,政策導入によって都市が持続可能性を保てるかは明らかになっていない.そこで,本研究では,都市を特徴別に分類し, その特性に合わせた最適なコンパクトシティ政策のあり方を分析する.その結果を用いて,市民の生活利便性と都市の経営を考慮した上で,持続可能なコンパクトシティのあり方を定義することを目的とする.手法としては,人口動態の変化や政策による集約などをシミュレーションすることで都市の持続可能性を示す.

14:00
和眞 緑川 (早稲田大学, Japan)
真吾 高橋 (早稲田大学, Japan)
組織内の個人間コンフリクトがダブル・ループ学習に与える影響分析
PRESENTER: 和眞 緑川

ABSTRACT. 組織が外部環境の変化に適応し, 長期的に成長していくためにはダブル・ループ学習の促進が必要である. しかし実際は, 短期的な成果に重きを置く企業の傾向により組織における探索学習がうまく進んでいない. 本研究では, 既存の知識を活用して短期的な成果をもたらす「活用学習」と, 新たな知識の探索・獲得を行う「探索学習」を両立させることをダブル・ループ学習の促進と位置づけ, 2つの学習の促進に影響を与える要因, 特に本研究では, いくつかの先行研究から組織活動における個人間のコンフリクトが活用・探索学習に影響を与える可能性に着目し, Agent-Based Modelingを用いて分析を行う.

14:15
優平 小池 (芝浦工業大学, Japan)
学 市川 (芝浦工業大学, Japan)
リカレント教育における経済効果分析と施策シナリオの検証
PRESENTER: 優平 小池

ABSTRACT. 生産年齢人口の減少や著しい技術革新に伴って,日本では社会人の学び直しであるリカレント教育が近年話題に挙げられている.しかし,受講に際して費用や時間,プログラムの不足といった個人の環境要因や,大学等での学び直しにおける各関係者間の認識の齟齬がリカレント教育普及の障壁となっている.そのため,今後の行政政策における施策や環境整備によって,社会人が学び直しの選択をするメリットを引き出すことが課題となる.本研究では,新たな政策の補助や環境整備を行うことで,リカレント教育普及率と,行政投資に対する人的資本の向上が経済成長にプラスにはたらくシナリオ施策を検証することを目的とする.

14:30
和 小平 (芝浦工業大学, Japan)
学 市川 (芝浦工業大学, Japan)
地域性と時間指定配達を考慮した配送モデルの構築と施策評価
PRESENTER: 和 小平

ABSTRACT. インターネット通販の普及と需要の増加によって,宅配便業界におけるドライバ―の人手不足が顕在化している.さらに,再配達や時間指定配達の時間帯の偏りによって,宅配ドライバーの負担は増加している.この問題を改善するものとして,配送の効率化や再配達削減の施策について言及している研究があるが,人口や世帯状況などの地域性をふまえた分析を行っているものはない,本研究では,人口や年齢分布などの地域性をふまえた配送モデルを構築し,地域内で配送が困難になる状況の可視化する.その後,可視化した状況をふまえた上で施策を検討し,配送シミュレーションを行うことで.その効果を評価する.

15:00-16:30 Session 3A: 研究発表1A
Chair:
忠彦 村田 (関西大学, Japan)
Location: A会場
15:00
稜介 竹村 (早稲田大学, Japan)
真吾 高橋 (早稲田大学, Japan)
コンシューマゲーム市場におけるプラットフォーム普及モデル
PRESENTER: 稜介 竹村

ABSTRACT. 近年, 様々なプラットフォームエコシステムの形が模索される中で,両面性市場の代表例であるコンシューマゲーム市場に着目し,両面性市場の中核的概念であるクロスサイドネットワーク効果のほか, プラットフォーム普及の要因について論じる. また本研究ではシステムダイナミクスを用いてコンシューマゲーム産業の両面性市場のモデルを構築し, 先行研究で課題となっていた魅力度の意味付けや, マルチホーミングなどのプラットフォーム普及に関するその他の要因についても考察を行う.

15:15
雄一 江尻 (青山学院大学, Japan)
拓弥 原田 (青山学院大学, Japan)
紀知 大内 (青山学院大学, Japan)
合成人口とAEDオープンデータを活用した相模原市のAEDカバー率の分析
PRESENTER: 雄一 江尻

ABSTRACT. 日本国内には推定約60万台のAEDが設置されている.2019年の心停止傷病者78,884人のうち,一般市民がAEDによる除細動を行った傷病者は1,311人であり,AED の設置状況には懸念が残る.そこで本研究では,神奈川県相模原市を対象に,AEDの位置と個人の距離を分析する.AEDと居住地の距離測定手段として直線距離と道路距離の二つを用いた.

15:30
和奏 大吉 (早稲田大学, Japan)
真吾 高橋 (早稲田大学, Japan)
SNS上でのグッズ取引を例にとる,視野のある環境での制裁と信頼関係が協調行動に及ぼす影響
PRESENTER: 和奏 大吉

ABSTRACT. 人々は集団の中で日々協調(協力)しながら生活している.一方,個人の合理的な判断が社会にとっては望ましくないときは往々にしてあり得る.特にSNSが発達する現代において協調が個人の利得につながりにくい状況が顕在化している.先行研究から,空間型N人囚人のジレンマゲームに制裁または信頼関係を導入することによって協調行動が促されることが分かっている.本研究では,両者が同時に存在する場合,集団の協調行動にどのような影響を及ぼしているのかを視野の大きさの違いに注目して分析する.これによってコミュニティの性質ごとに,制裁と信頼関係どちらの影響が現れやすいのかという知見を得る.

15:45
竜也 津布久 (早稲田大学 髙橋研究室, Japan)
真吾 髙橋 (早稲田大学 髙橋研究室, Japan)
医療機関におけるBSCのカスケード
PRESENTER: 竜也 津布久

ABSTRACT. 近年,医療機関においてBSCに対する理解が広まり導入を検討する機会が増えている中で,病院全体のBSCと各部門のBSCを独立したものではなく,それぞれのBSCを連携させることで戦略に一貫性をもたせることが重要と考えられている.そこで本研究では過去のBSCのカスケードの事例をもとにエージェントベースモデルを構築する.カスケードの方法論をシミュレーションを用いて有用性について検証する.

16:00
陽太郎 松井 (Shibaura Institute of Technology, Japan)
海斗 関 (Shibaura Institute of Technology, Japan)
祐太 山崎 (Shibaura Institute of Technology, Japan)
学 市川 (Shibaura Institute of Technology, Japan)
保健・医療の連携及び行政政策のためのゲーミングシミュレーションの設計
PRESENTER: 陽太郎 松井

ABSTRACT. 新型コロナウイルスの蔓延は多くの死者のほか,保健・医療のひっ迫をもたらし,医療崩壊を引き起こした.今後起こりうる感染の波を乗り越えるには保健・医療の対応力を強化することが重要である.本研究では保健所の日常的な業務を行っている際に,感染症などのイレギュラータスクが発生した際の対応力を強化するための訓練ゲームの設計を行った.

16:15
衣舞 上野 (早稲田大学, Japan)
真吾 高橋 (早稲田大学, Japan)
社会資本整備事業における合意形成プロセスのモデル構築と特徴分析
PRESENTER: 衣舞 上野

ABSTRACT. 社会資本整備は,近年の厳しい財政状況,少子高齢化の進展や国民意識の多様化を背景に,より効率的で透明性の高い執行が求められており,国民とのコミュニケーションを図りながら結果及びプロセスの満足度を高めることが必要となっている.本研究では,ドラマ理論,エージェントベースモデリングを用いて,社会資本整備事業における合意形成プロセスのモデルを構築し,「利害関係者の構造」「事業の影響範囲」の関係による合意形成プロセスの特徴を分析することを目的とする.また,ゲーミングシミュレーションにより,構築されたモデルの妥当性の検証を行う.

15:00-16:30 Session 3B: 研究発表1B
Chair:
学 市川 (芝浦工業大学, Japan)
Location: B会場
15:00
耕介 江口 (早稲田大学, Japan)
真吾 高橋 (早稲田大学, Japan)
プラットフォームコミュニティと仲介者を考慮したユーザーイノベーションの生成と普及の分析
PRESENTER: 耕介 江口

ABSTRACT. 本論文は,近年のIT技術の発展により、自社資源だけでなく他社資源を利用し組み合わせることができるようになり、それらの融合によって新しい価値を生むオープン・イノベーションの概念が注目され、中でもプラットフォームのコミュニティと仲介者(第3アクター)としてプラットフォーム管理者を考慮したユーザーイノベーションについてモデル化、及びシミュレーション分析を行う。本研究ではLEGO社のLEGOCUUSOをモデル化の対象とし、モデルを構築・シミュレーションを行い、ユーザーイノベーションによる新しい価値生成プロセスとその後の価値普及プロセスをダイナミクス的に表現し、プラットフォームコミュニティの特性と仲介者の役割について分析を行う

15:15
將人 安宅 (Waseda University, Japan)
慎吾 髙橋 (Waseda University, Japan)
メディア効果と情報リテラシーによる影響を考慮したオピニオンダイナミクス理論
PRESENTER: 將人 安宅

ABSTRACT. 社会システムにおける意見形成過程は昔から様々な研究がなされてきている. また, 社会の合意形成や選挙などを念頭に研究されているオピニオンダイナミクス理論では, 個々の内部モデルを応用して分析が行われてきている. 一方で, マスメディアを代表とする外乱を考慮した意見形成過程のモデル化はあまりなされておらず最先端の研究として位置づけられる. 集団での最終的な意見形成に影響を与えるものは, 情報を発信する側と受け取る側の双方であり, これらを考慮したオピニオンダイナミクス理論を展開していく.

15:30
慎太郎 北下 (Kansai University, Japan)
忠彦 村田 (Kansai University, Japan)
合成人口データを利用した労働者の通勤経路・所要時間の推定
PRESENTER: 慎太郎 北下

ABSTRACT. 本研究では,合成人口データの労働者を対象に,個々人が通勤に用いる交通手段と通勤にかかる時間,鉄道を用いる場合に利用する経路を推定する手法を提案する.合成人口とは統計を基に家族構成とその構成員の属性を合成した個票データである.先行研究で木全らは,鉄道の移動に際しDijkstra法を用い経路を探索し.鉄道の時速を一律で40km/hとする手法を提案している.本研究では,常住地・従業地それぞれに候補駅を設定し,その候補駅間で経路探索APIを用いて経路・所要時間を推定するため,より現実に即した推定を行う.本研究の成果によって,合成人口上での常住地・従業地の位置と交通手段の関係,各労働者の出宅・帰宅時間の推定なども可能であると考えている.

15:45
純 入江 (早稲田大学大学院, Japan)
真吾 高橋 (早稲田大学, Japan)
関係性の展望を予測するエージェントとリーダーシップ施策が集団パフォーマンスの向上に与える影響分析
PRESENTER: 純 入江

ABSTRACT. 集団のパフォーマンスの向上には集団内での発言が重要な役割を示し,心理的安全性が高い集団において発言が促されパフォーマンス向上に貢献すると考えられている.また,対人関係において,発話者が相手との関係性の展望を予測することにより発話量が変動することが示されている.しかし,これは友人関係か一時的関係である場合に限定されており,職場に見られる上下関係が考慮されていない.本研究では,上下関係を考慮した相手との関係性の展望の予測が発言の意思決定に影響を与える環境を考える.そして,このような環境において集団パフォーマンスが向上するリーダーシップ,エージェントの特性を明らかにすることを目的とする.

16:00
末次 晃也 (早稲田大学 高橋研究室, Japan)
高橋 真吾 (早稲田大学 高橋研究室, Japan)
複雑二重ネットワークを用いた メタ認知と学習についての分析
PRESENTER: 末次 晃也

ABSTRACT. 教育分野において学習法,教授法の改善に向けての指針を提供するものとして注目される「メタ認知」とネットワーク研究で注目される複雑二重ネットワークを組み合わせたモデルを作成し,シナリオ分析を行うことで,効率の良い学習構造・形式を行うための意思決定支援になりうる研究

17:00-18:30 Session 4: 研究発表2
Chair:
裕介 後藤 (芝浦工業大学, Japan)
Location: メイン会場
17:00
竜希 福嶋 (青山学院大学, Japan)
拓弥 原田 (青山学院大学, Japan)
紀知 大内 (青山学院大学, Japan)
合成人口の精緻化に向けたU-Netによる建物用途推定
PRESENTER: 竜希 福嶋

ABSTRACT. 社会シミュレーションにおける Facsimile Model の構築には,しばしば対象地域の世帯やその住所情報が求められる場合がある.先行研究では,実際の統計の特徴と整合する世帯のデータが作られた.しかし,世帯に住所を与える際,無作為に建物へ割り当てている.本研究では,世帯を精緻に建物へ割り当てるため,深層学習モデルのひとつである U-Netを用いて航空写真内の建物の用途を推定する.

17:15
大樹 岩瀬 (関西大学, Japan)
忠彦 村田 (関西大学, Japan)
合成人口データにおける就業者の生活時間推定のための従業地と職業の割当て
PRESENTER: 大樹 岩瀬

ABSTRACT. 感染症の流行を再現する社会シミュレーションなど, 研究対象とする社会現象によっては, モデルに人々の日常の生活行動を表現する必要がある. 実際の環境や人口を対象とした社会シミュレーションにおいて, 汎用的に利用できるミクロな個人の行動を推定した仮想データを構築することで, 現実社会の人々が日常の行動を行う中で発生する社会現象のモデル構築が容易になる. 本研究では, 大阪府高槻市に常住する就業者の合成人口データに対し, 国勢調査や経済センサスなどの統計資料を用いて従業地や職業分類に関する属性の割当てを行い, 具体的な生活時間の推定に活用できるデータの構築を目指す.

17:30
由希 三須 (早稲田大学, Japan)
真吾 高橋 (早稲田大学, Japan)
感染症流行下での人の接触ネットワークの構造と実効再生産数の妥当性の関係
PRESENTER: 由希 三須

ABSTRACT. 現在も感染拡大が続いている新型コロナウイルスについて,その感染状況を示す指標にはいくつかの種類がある.本研究では実効再生産数に着目した妥当性評価について新たな知見を得るべく,社会における人のネットワーク構造が実効再生産数の妥当性に与える影響について検証する.先行研究では,報告される新規陽性者数の不確実性と世代時間の不確実性が実効再生産数の妥当性に与える影響について,仮想人工社会のモデルを用いて検証されている.この仮想人工社会モデルをベースとし,そこから人の接触ネットワークを生成して構造の分析を行うことで実効再生産数の妥当性とネットワーク構造の関係を明らかにすることを目的とする.

17:45
イブン 陸 (早稲田大学, Japan)
真吾 高橋 (早稲田大学, Japan)
心理的バイアスが手指消毒ナッジの効果に与える影響を検証するためのナッジモデルの提案
PRESENTER: イブン 陸

ABSTRACT. 世界中に新型コロナウイルスの感染が広がり,各国で緊急対策を取り入れている中で,日本政府も緊急事態宣言や蔓延防止措置などの対策を実施していた.しかし,人々は情報を見落としたりバイアスに左右され判断を下したり, 常に合理的であるとは限らない.このような問題状況において,セイラー教授らが提唱したナッジと呼ばれる人々の意思決定に影響を与えて行動変容を促す行動概念が有効だと考えらえる.本研究は, 人々の心理的バイアスがナッジの効果に与える影響を明確にし,今後ナッジ政策について実証研究を行う際に実験計画をデザインするためのエージェントベースモデルを提案することを目的としている.

18:00
康平 渡邉 (芝浦工業大学, Japan)
悠 小田中 (東京大学, Japan)
豊 中井 (芝浦工業大学, Japan)
学 市川 (芝浦工業大学, Japan)
コンジョイント分析を用いた災害時の避難行動解明
PRESENTER: 康平 渡邉

ABSTRACT. 熊本地震では, 想定を上回る11万人もの住民が避難を余儀なくされた. 避難所の収容人数を超過したことで, 指定外避難所への避難者が大勢発生した. 避難所の分散は, 自治体の避難者把握を困難なものとし, 支援が滞る事態を招いた. そこで, 本研究ではエージェントベースによるアプローチで避難者一人一人の避難行動を表現可能なシミュレーションモデルを構築する. これにより, 複数シナリオを想定した綿密な地域防災計画の策定を目的とする. 本稿では, コンジョイント分析を用いたアンケート調査を通じて, 震災時の住民の避難行動に影響を与える要因を明らかにする.

18:15
実可子 髙橋 (早稲田大学, Japan)
真吾 高橋 (早稲田大学, Japan)
ベーシック・インカム導入による労働市場への影響分析
PRESENTER: 実可子 髙橋

ABSTRACT. 新たな社会保障制度として注目を集めている「ベーシック・インカム」とは, 人々が個人の収入や労働の有無, 世帯状況に関係なく, 一律額の金銭を定期的に受け取る制度である. これまで政治学や経済学などの専門領域で, 本制度の導入によって社会にどのような影響があるかが, 盛んに議論されてきた. 本研究では, その中の一分野である「労働」に着目する. 現時点で想定されている社会への影響をシステム・ダイナミクスで, 労働モチベーションに関する個人の内部要素をエージェント・ベース・モデリングで表し, ベーシック・インカムの制度設計(給付額や税率の変化)と労働市場との関係を知りたい.